マーケ視点で復習 Google I/0 2022 第1回

米グーグルは開発者会議「Google I/O 2022」を2022年5月11~12日に開催した。WebやAI(人工知能)など大半は技術者向けの専門的な内容だったが、マーケターにとっても「脱クッキー」にまつわるプライバシー関連のトピックは見逃せない。最近のグーグルの動向を踏まえて注目ポイントを紹介する。

米グーグルが2022年5月11~12日に開催した開発者会議「Google I/O 2022」。プライバシー保護と広告ビジネスの両立は大きなテーマの1つだった
米グーグルが2022年5月11~12日に開催した開発者会議「Google I/O 2022」。プライバシー保護と広告ビジネスの両立は大きなテーマの1つだった
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 「グーグルはあなたの個人情報を第三者に販売しません」。ユーザーとの信頼構築やプライバシー関連の取り組みについて担当するグーグルのダニエル・ロメイン副社長は、Google I/Oの基調講演で訴えた。Gmail、Googleフォト、Googleドライブといった各種サービスに保存されているコンテンツはもちろん、健康、人種、宗教、性的指向などのプライバシー情報を広告に使用することは決してないと説明した。

 そのうえで、ユーザーが最適な広告をコントロールできるようにする新機能として「My Ad Center」を紹介した。Googleの検索結果、YouTubeの動画、ユーザーの好みに合わせて関連コンテンツを表示する「Discover」という機能の中で、ユーザーが表示してもよい広告を選択できる。「フィットネス」「バケーション」「スキンケア」「ハイブリッド車」といったトピックごと、あるいは店舗やメーカーといったブランドごとにオンオフする。

ユーザーが表示したい広告を選択できる新機能「My Ad Center」。22年後半に提供する予定
ユーザーが表示したい広告を選択できる新機能「My Ad Center」。22年後半に提供する予定
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 同じような操作は「広告のカスタマイズ」と呼ばれるメニューで既に提供している。My Ad Centerは、ビジュアル的に分かりやすく、操作性を高めたものという位置付けだろう。Googleアカウントの管理画面のほか、広告からも、直接My Ad Centerへとアクセスできるようになる。22年後半からの提供を予定する。

 プライバシー保護に関するグーグルの取り組みは2日目のセッションでも数多く紹介された。「プライバシー保護の技術革新と、健全なモバイルエコシステムの発展を両立できるか。その答えは『イエス』だと考えています」。プロダクトマネージャーのエドワルド・ヴィラセニョール氏は、そう強調したうえで、スマホ向けOS「Android」の取り組みを紹介していった。

 EU(欧州連合)が一部のターゲティング広告を規制する「DSA(Digital Services Act)」の準備を進めるなど、ユーザーの保護はサービス上での大きな課題になっている。その一方で、ネット企業の多くは広告からの利益で成り立っている。米アルファベット(グーグルの持ち株会社)の22年1月~3月期の決算を見ると、広告収入は546億6100万ドルで、売り上げ全体の8割を占める。技術を結集してプライバシー保護を進めながらも、収益の源泉であるネット広告市場は守りたい。そんな本音が講演やセッションの言葉からにじみ出ているようにも感じられた。

ユーザーのプライバシーを保護すると同時に、健全な広告ビジネスを両立させると説明した。2日目のAndroid関連のセッションより
ユーザーのプライバシーを保護すると同時に、健全な広告ビジネスを両立させると説明した。2日目のAndroid関連のセッションより
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クッキー廃止を23年後半に延期

 ここ数年の脱クッキーの動きを振り返ってみよう。18年施行のEUによるGDPR(一般データ保護規則)がきっかけで、ネットサービス上のプライバシーに向けた意識が高まっていた。それに先がけて、米アップルはWebブラウザー「Safari」で、クッキーを制限するITP(インテリジェント・トラッキング・プリベンション)と呼ばれる機能を17年から搭載し始めた。これを受ける形で、グーグルは20年1月、同社のWebブラウザー「Chrome」でサード・パーティー・クッキーのサポートを2年以内に廃止すると発表。ChromeはWebブラウザーで大きなシェアを持つだけに、ネットマーケ業界が騒然となった。

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