世界に誇る日本のフードテック最前線 第7回

食品ロスを抑え、食材の鮮度を維持する冷凍技術。うまみや色味を保ってより高品質な冷凍食品を造れるとして、注目を集めているのが「急速冷凍」だ。これに特化して躍進しているデイブレイク(東京・品川)は、サステナブル+αの価値を探っている。食材のうまみやコクまで向上させる可能性があるという。

デイブレイクの急速冷凍技術で握りたてを冷凍し、解凍したすし
デイブレイクの急速冷凍技術で握りたてを冷凍し、解凍したすし
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 東京都八王子市にある「JAZZ BAR & CAFE ROMAN」。1957年に「純喫茶ロマン」として創業した老舗で、揚げたて熱々のカツを秘伝のたれにつけ、ひと煮立ちさせた後、ふわふわのパンに挟んだ名物「煮かつサンド」で知られる名店だ。

 この絶品の煮かつサンドは、以前なら八王子まで訪れてイートインで楽しむしかなかったが、今ではECで販売されているほか、百貨店などでも販売されている。その販路拡大の立役者といっていいのが、急速冷凍技術だ。同店は急速冷凍スタートアップであるデイブレイク(東京・品川)の支援により、冷凍煮かつサンドを商品化、それにより販売個数は数百倍に跳ね上がったという。今では店舗はテークアウト・デリバリー専門店として営業し、生産効率の向上に努めている。

 熊本県天草で養殖されたトラフグやマダイを扱うふく成(熊本市)も、デイブレイクの急速冷凍ソリューションに救われた1社だ。新型コロナウイルス禍で業務用卸が減る中で、個人向けのECなどを強化したことで、通販事業の売り上げで1億円超えを達成するまでに成長した。急速冷凍によって計画生産が可能になり、営業利益率も導入前より3倍に向上したという。

ふく成の冷凍マダイ
ふく成の冷凍マダイ
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食材の鮮度を止める「タイムマシン」。その実力は?

 急速冷凍技術は、古くて新しい技術だ。原理としては、冷凍時-1~-5度を通過するときに食材の中の水分が氷核に変わるのだが、ゆっくり凍らせる通常の冷凍技術では氷の結晶が肥大化して細胞を破壊してしまう。これが解凍時のドリップにつながり、結果、本来の味わいも食感も保てないことになる。これに対して急速冷凍は、素早く凍らせることで細かな氷の結晶にとどめ、うまみ成分の流出を最小限に抑える。

 しかし、単に急速冷凍機を導入すればうまくいくわけではない。高い品質の冷凍食品を作るには、そもそも急速冷凍に向くレシピの考案から食材の適切な前処理、凍結方法(液体か、冷風凍結か)の選定、冷凍食品の保管、解凍まで、一気通貫でオペレーションを考える必要がある。食材やレシピごとにそのノウハウとデータを蓄積してきたのが、デイブレイクの強みだ。同社の木下昌之社長は、「急速冷凍機の導入企業は約3万社あるが、うまく使いこなせているのはたったの3%程度」と言い切る。

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