
「カンロ飴(あめ)」や「ピュレグミ」などの人気商品で知られるカンロが、2022年9月から直営店「ヒトツブカンロ」および公式オンラインショップで、新たな商品シリーズを投入する。製造過程で発生する廃棄あめを原料にアップサイクルしたウエットティッシュなど、エコラインの商品だ。オーガニック米を発酵させて化粧品をつくる独自技術を持つスタートアップ企業と組み、廃棄あめの発酵からウエットティッシュの商品化に成功。ギフト需要を取り込んでいく。
新宿駅西口を出てすぐの新宿ミロードモザイク通り。「カンロ飴(あめ)」や「ピュレグミ」などの人気商品で知られる老舗のキャンディーメーカー大手、カンロの直営店「ヒトツブカンロ」がある。最近は次世代食感グミという触れ込みで人気の「グミッツェル」を買い求める若い世代が開店前から行列をつくっている。他にも東京駅構内地下「グランスタ」や期間限定ポップアップストアを商業施設で展開しているこの直営店、および公式オンラインショップで、2022年9月から新しい商品ラインアップがお目見えする。
ブランド名は「ヒトツブカンロearth」。製造過程などで生じる廃棄あめを原料にしてつくるアップサイクル商品や、あめ缶の繰り返し利用を促す“詰め替え”用リフィルなど、エコラインの商品群だ。単にリサイクル商品を展開するのではなく、廃棄資源をアップサイクルした商品を新規に開発して販売する点で、本気のサステナブルな取り組みであることがうかがえる。
カンロの看板商品であるカンロ飴の原料は、水あめ、しょうゆ、砂糖、塩の4種類。これを煮詰めて棒状にしたあめを、上下から半球形の型で挟むことで球状にカットする。この成形の過程でどうしても「切り粉」が出る他、出荷できない規格外あめも発生する。
商品化までに発生するこうした廃棄原料は、年間にすると約1300トンに上るという。決してそのまま捨てているのではなく、9割は飼料や肥料として再利用しているものの、料金を支払って処分してもらっている格好だ。
「この廃棄あめを原料に新たな商品を送り出すのが私たちのミッション」。そう語るのが、同社デジタルコマース事業本部ヒトツブ事業部長の金澤理恵氏。ヒトツブカンロを行列のできる店にした立役者でもある。
カンロは21年2月、2030年の将来像を描いた「Kanro Vision 2030」を発表し、従来型コア事業の他に「グローバル」「デジタル」「フューチャー」を事業領域拡大策として掲げた。フューチャー部門は、「サステナブル」と「well being」をキーワードに、循環型経済(サーキュラーエコノミー)に取り組み、ESG(環境、社会、ガバナンス)経営を後押し・加速させる役割を担う。フューチャー部門はフューチャーデザイン事業本部として本稼働したところだ。
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