
プレスリリースのマーケ活用を探る本特集。生活者など幅広い人が見るように変化してきているが、やはり本命は「いかにメディアに取り上げられるか」だ。自社商品「ねこずかん」に加え、nakatx「猫と、こたつと、思い出みかん」や菊水産業「つまようじ屋の非接触棒」など、数多くのプレスリリースを手掛けてヒットを生み出している岡田商会(大阪市)常務の岡山耕二郎氏に聞いた。
4本しか売れていなかった印鑑が3日で5000本売れた
岡山氏がプレスリリースの可能性に開眼したのは、家業であるはんこメーカーでEC(電子商取引)サイトを立ち上げたものの、売り上げが伸びずに悩んでいたとき。大の猫好きである岡山氏は商品の差異化のため、名前に猫のイラストを組み合わせた「ねこずかん」というはんこを2015年12月26日に発売した。
16年1月6日にプレスリリースを配信したものの、直後に3連休に入り、すっかり忘れていたという。しかし連休明けに出社してみたら、ECサイトには約5000本の注文が殺到。「それまでは4本しか売れていなかったので驚いたが、そういえば連休前にプレスリリースを流したな、と思い出した」(岡山氏)。慌ててネットで検索したところ、その3日間に多くのメディアで取り上げられ、ネットでもバズっていた。
この一件で岡山氏のはんこに対する概念が大きく変わった。それまではんこは、“必要だから購入するもの”と考えていた。またひと目で価格の比較ができるECサイトで勝負するからには、同業他社より低価格にするか、「当日出荷」などのスピードが売り上げにつながると思っていた。しかし「ねこずかん」の反響の大きさから、「必要ではないが、愛着が持てる特別なはんこが欲しい」というニーズがあることに気づいた。
プレスリリースから逆算して商品を企画する
そして、岡山氏は自社商品のPR実績を個人のFacebookアカウントに投稿し続けたところ、それらを見た友人や知人から少しずつ「うちのPRもやってほしい」といった依頼が入り始め、さまざまな商品・サービスのPRをサポートするようになった。これまでに書いたプレスリリースは500本を下らないという。
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