ニッポンの今どき富裕層研究 第6回

ニッセイ基礎研究所は2021年11月18日に「パワーカップル世帯の動向」というリポートを発表した。共働き世帯の増加で注目を集める「パワーカップル」は、どんな生活を送っているのか? 生活研究部上席研究員の久我尚子氏に、30代のパワーカップルを中心に世代による違いや、消費動向の変化を聞いた。

ニッセイ基礎研究所生活研究部上席研究員の久我尚子氏(写真/丸毛 透)
ニッセイ基礎研究所生活研究部上席研究員の久我尚子氏(写真/丸毛 透)

――近年、高年収同士の共働き世帯を「パワーカップル」と呼びます。どれくらいの世帯数があるのでしょうか。

久我尚子氏(以下、久我) ニッセイ基礎研究所では夫婦共に年収700万円以上の世帯を「パワーカップル」と呼んでいますが、実際には世の中に明確な定義はありません。総務省が2021年に行った調査によると、共働き世帯は増加の一途をたどり、総世帯数(5558万世帯)の3割に迫る1632万世帯で、パワーカップルは31万世帯。共働き世帯の1.9%、総世帯数に占める割合は0.56%ですが、近年、増加傾向を示しています。

●世代累計別に見たパワーカップル(夫婦共に年収700万円以上)の世帯数
●世代累計別に見たパワーカップル(夫婦共に年収700万円以上)の世帯数
(出所)ニッセイ基礎研究所「基礎研レポート」。太字は総数。世帯数の公表値に用いられる単位に対してパワーカップル世帯数が少ないため、内訳として公表されている世帯種類別の世帯数を合算すると総数と差が生じるため、世帯種類別の世帯数の合算値に対する各世帯種類の割合を算出し、総数に占める割合として示している。総務省「労働力調査」より作成

――パワーカップルはどんな世帯なのでしょうか?

久我 年代別に見たときに最も割合が高いのは30代で、ニッセイ基礎研究所の以前の調査ではパワーカップル全体の32.6%、次に50代が30.2%、40代の27.9%です。50代では、夫婦共に正規雇用などで働いている人を中心に年収を上げていった結果、「パワーカップル」になった傾向が見られます。現在の40代半ばの世代まではまだ女性は大学進学率よりも短大進学率が高く、一般職として就職して出産や子育てを機に正社員を退職した人が目立ちます。パートタイムなどの非正規雇用で働いている人が比較的多く、職場復帰をしても“出世コース”から外れてしまう「マミートラック」に陥る傾向も見受けられました。

 それに対して現在の30代は、1997年の男女雇用機会均等法の改正で企業の努力義務だった募集・採用、配置、昇進などによる男女差別が禁止されて以降に就職した世代です。女性自身もキャリア形成と子育て両方に高い意識を持っている人が増えているとみられます。

 また、厚生労働省が2019年に行った調査によると、国内全世帯の平均年収は552万円で、中央値は437万円。30代で「パワーカップル」となった世帯は、夫婦共に若い段階で高年収に達した、高いスキルを持った人たちだともいえます。

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