一時、国内からの撤退を噂されるほど苦境に陥っていた「クリスピー・クリーム・ドーナツ」が今、驚異の復活を遂げている。2022年7月20日(水)と21日(木)に開催する「日経クロストレンドFORUM 2022」では、その復活劇の背景にある地道な現場改革について、クリスピー・クリーム・ドーナツ・ジャパン社長の若月貴子氏が語る。今回は過去の記事から、復活劇の一部をお届けする。
2022年7月20日(水)と21日(木)に開催予定の「日経クロストレンドFORUM 2022」では、ニューノーマルな時代を独自の戦略で生き抜く企業の「勝利の方程式」に迫る。「日経クロストレンドFORUM 2022」の開催に先駆けて、注目企業の戦略を紹介する本連載。今回は、クリスピー・クリーム・ドーナツ・ジャパンを取り上げる。
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クリスピー・クリーム・ドーナツが陥った苦境
米国生まれのふわふわで甘い「オリジナル・グレーズド」で、一躍人気ドーナツブランドとなったクリスピー・クリーム・ドーナツ。2006年12月、東京の新宿サザンテラスにオープンした1号店では、日本初上陸のドーナツを買い求める人が連日行列をつくったことを覚えている人も多いだろう。
破竹の勢いで全国各地へと展開し、15年には64店舗へと拡大した。ところがブームは長くは続かず、一転して16年1~3月に大量閉店を敢行。46店舗まで縮小したことで、「クリスピー・クリームはもう終わった」と評する人もいた。
だが、この16年の大量閉店は「復活のために、身の丈に合った規模へ一度縮むことが目的だった」と、クリスピー・クリーム・ドーナツ・ジャパン社長の若月貴子氏は話す。若月氏は14年に副社長に就任し、マーケティング部門を統括。この大量閉店を主導した。
苦境に陥った理由は以下の参考記事で詳報しているが、大きな原因の一つは店舗運営力の低下にあった。そのために、一度店舗網を縮小し、新規出店を首都圏などの都市部に限定。経営資源を既存店へ集中することで、店舗運営力を高め、立て直しを図った。
▼参考記事 クリスピー・クリーム復活の裏側 顧客満足度17%アップの秘策成果は早くも17年夏ごろから表れた。既存店の売り上げが前年比プラスに転じ、20年4月にコロナ禍で商業施設が閉鎖されたことなどによる影響が出るまでは、前年比プラスを継続した。その後、20年秋には再び既存店の売上高はプラスに転じており、21年以降も継続中だという。
復活のためにKPIを大きく転換 鍵は「顧客満足度」
では、どのようにして既存店の売り上げを復活させていったのか。消費者から見える側としては、16年にランクに応じて優待を受けられるオリジナルアプリの導入や、クイックオーダーの展開など、サービス面の改善が目立った。さらに、16年10月には日本に上陸した「Uber Eats」の初期パートナーになり、デリバリーにも参戦。着実に利便性は高まっていった。コロナ禍の影響から早々に脱することができたのも、デリバリーとクイックオーダーの存在が大きかった。
だが、復活の本当の理由は、実はこういった表に見える分かりやすいサービスの進化ではない。社内変革にこそ、神髄があった。
鍵は、若月氏が設定した3つのKPI(重要業績評価指標)にある。3つとは、「顧客満足度」「従業員満足度」「既存店の売上高」だ。
中でも重視したのが、顧客満足度。「安定した売り上げをつくるには、お客様に商品やお店を好きになってもらい、リピートしてもらうことが大切。どんなにおいしい商品を売っていても、クリスピーには二度と行きたくないと思われてしまったらどうしようもない。『また店舗に行きたい』『クリスピーが好き』という感情が来店してもらう一番のドライバーだと思う」(若月氏)。それを示す重要な指標が、顧客満足度というわけだ。
日経クロストレンドFORUM 2022の講演では、この顧客満足度を高めるためにいかに店舗体験を向上させていったのかを詳しく公開。また、店舗体験を高めるために必須の人材育成についても、若月氏自らが語る。
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(写真提供/クリスピー・クリーム・ドーナツ・ジャパン)