進化を続けるコンビニの棚からヒット商品の芽を見つけ出していく新連載。初回は発売2週間で300万食を売り上げた、ファミリーマートの「具だくさん!おむすび」シリーズを取り上げる。「ごちむすび」など一部の高価格帯を除いたコンビニ定番おにぎりには、越えてはいけない「150円の壁」があった。だが、この壁に“具材のチラ見せ”という付加価値で挑もうとしている。

「具だくさん!おむすび」シリーズ第一弾の2種。具材を強調するため、パッケージの透明部分をあえて広くした
「具だくさん!おむすび」シリーズ第1弾は2種類。具材を強調するため、パッケージの透明部分をあえて広くした

 ファミリーマートが2022年4月26日に発売した「具だくさん!おむすび(以下、具だくさん)」シリーズが、発売2週間で300万食を売り上げ、好調なスタートを切った。おむすび専門店のように、普通は中に隠れている具材を、あえて「見せる」ことで購買意欲を刺激。さらに絶妙な価格設定によって、ヒットを呼び込んだ。

 パッケージの外から、おむすびの具材が見えるようにした具だくさんシリーズ。イメージとしては、ご飯の間に具材を挟んだライスバーガーにのりを巻いた状態に近い。三角形に成形したご飯の上に具材を載せ、その上から三角形の上部をカットして台形にしたご飯でふたをする。そのカットした部分から、具材がちらりと顔をのぞかせるという仕組みだ。ご飯を重ねるだけで押しつぶさないため、ふわっと握ったような食感も残せる。

三角形に成形したご飯の上に具材を乗せ(上)、この上に台形のご飯をかぶせる。そこに手巻きののりを巻いて完成する
三角形に成形したご飯の上に具材を載せ(上)、この上に台形のご飯をかぶせる。そこに手巻きののりを巻けば完成

 第1弾の具材は「明太子と漬けサーモン」(税込み160円、以下同)、「かき揚げ」(158円)の2種類。おむすびの開発を率いる同社商品本部の田澤勲氏は「明太子と漬けサーモンは、定番の具材を組み合わせ、来店者数の多い都心部の店舗を狙った商品。かき揚げは全体的にボリューム感があって車内でも食べやすいことから、ドライバー利用が多いロードサイド店舗を狙った」と明かす。

 ファミリーマートは近年、超定番商品のおむすびでヒット商品を連発している。20年10月発売の「ごちむすび」シリーズは“プチぜいたく”需要をつかみ、発売から約1年1カ月で1億食、21年8月発売の「SPAMむすび」も8カ月で2000万食を突破した。今回の具だくさんシリーズはおむすびの需要が高まるゴールデンウイークを狙って発売し、20円引きセールの効果もあり、人気シリーズに匹敵する数字をたたき出した。

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