ソーシャルメディアに投稿されたn=1(たった1人の声)を拾い上げ、マーケティングやコミュニケーションに活用する「ソーシャルハンティング」術。第2回では、n=1の探し方──「7つの鬱憤 WARPATH(ウォーパス)」を解説した。今回は、n=1を基に、企業の広報宣伝やコミュニケーションにつなげた青果物大手のドールやヘルスケア大手、ジョンソン・エンド・ジョンソンのビジョンケア カンパニー(以下、J&J ビジョンケア カンパニー)の事例を紹介する。

企業やブランドはn=1の声をどう活用していくか(画像/shutterstock)
企業やブランドはn=1の声をどう活用していくか(画像/shutterstock)
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 連載の第1回、第2回を通して、ソーシャルメディアに隠れている世の中のホンネ「n=1」を探す意義と、その探し方について解説してきた。

 少しおさらいしておこう。現代社会では、生活者の行動や体験、考え・価値観などを含め、ホンネがソーシャルメディアを通してリアルタイムに発露されやすくなっている。その中で、多くの企業がソーシャルメディアの声を活用し、ブランドや商品戦略に生かそうとしている。

 ただ、広く拡散されたり、注目を集めたりする投稿には注目しても、“たった1人の声(n=1)”には、これまであまり関心が寄せられていなかった。しかし、このたった1人のホンネに、まだ世の中に広く注目はされていないが、一定数の人々が共感する、あるいは問題視する現象や考え方・価値観が隠されていることがある。そこに企業やブランドにとってのヒントがあるのだ。

 では、たった1人の声(n=1)はどのように探せばいいのか。その糸口として編み出したのが、“鬱憤”だ。筆者は鬱憤の感情を7つに分類し、その頭文字をとって「7つの鬱憤 WARPATH(ウォーパス)」と名付けた。

電通PRコンサルティングの資料を基に編集部で作成
電通PRコンサルティングの資料を基に編集部で作成

 「大掃除×したくない」「子育て×難しい」など、商品・サービス名や、それらと関連する一般用語と、鬱憤を掛け合わせて検索すると、まだきちんと言語化されていないものの、人々の共感を得られるような意見が見つかる。その中でも、企業のマーケティングのヒントになるような意見を「光るn=1」と名付けた。

 この光るn=1を見つけたときに、それをどのように商品やブランドに活用すると効果的なのか。その具体事例を2つ紹介しよう。

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