ソーシャルメディアに投稿されたn=1(たった1人の声)を拾い上げ、マーケティングやコミュニケーションに活用する「ソーシャルハンティング」術。第1回 ▼関連記事:SNSマーケの新手法「ソーシャルハント」 光るn=1の探し方 は、1人の声を探す意義や、「光るn=1」に含まれる要素などについて解説した。今回は、n=1を探す具体的な方法をお伝えする。筆者らが独自で編み出した「7つの鬱憤 WARPATH(ウォーパス)」というフレームワークを使った検索法だ。

「鬱憤」にまつわるワードで検索して光るn=1を探す(写真/Shutterstock)
「鬱憤」にまつわるワードで検索して光るn=1を探す(写真/Shutterstock)

 筆者が日々、光るn=1を探すために見ているのは「Twitter」だ。リアルタイム性が高く、文字をベースとしたツイートには、包み隠さず感情が投稿されるという特性がある。年末にはこんなツイートを発掘した。「寒い思いをして大掃除をしたくない。掃除するならゴールデンウイークなどの暖かい季節にしたい」。他にも「真冬の寒い時期に大掃除をしたくない」「暖かい時期に大掃除をすればいいのに」といった同様の意見が見つかった。これらのツイートには、「大掃除に対するホンネ」が見え隠れする。

 ただ、その声だけだと「そういう声もあるのか」とスルーしてしまいがちだ。そこで、ツイートにピンときたら、次のステップとして、その声を「○○問題」や「○○説」といった形に言い換えてみることで、世の中や日常に潜む問題やニーズを認識しやすくなる。例えば、冒頭のツイート群を筆者は「大掃除が寒い年末に定着していることが許せない問題」と呼ぶことにした。

 他にも例を挙げてみよう。「育児」や「育休」が題材だ。Twitter上で「育児ってほんと大変。育休っていうけど決して休んでないし」というツイートを見つけた。育児に追われ、多忙を極める中、休んでいるような印象を抱かせる育休という名称に対する不満が見て取れる。これは「“育休”の名称に“休”が入っていることに納得できない問題」と名付けた。

 光るn=1を「問題化」することで、生活者のインサイトが捉えやすくなる。その大元となる光るn=1を見つけるためには、ちょっとしたコツがいる。筆者が試行錯誤の末に編み出した「7つの鬱憤 WARPATH(ウォーパス)」というフレームワークを使った検索方法だ。WARPATHとは、以下の7つの感情の頭文字から「敵意のある」「けんか腰」の意味を持つ英単語の「WARPATH」で名付けたものである。

筆者は「光るn=1」を探しやすくするため、「Want(欲求)」「Anti(反感)」「Request(要望)」「Problem(困難)」「Awful(悲観)」「Tired(疲弊)」「Hate(不快)」の頭文字を取って、独自のフレームワーク「7つの鬱憤 WARPATH」を編み出した
筆者は「光るn=1」を探しやすくするため、「Want(欲求)」「Anti(反感)」「Request(要望)」「Problem(困難)」「Awful(悲観)」「Tired(疲弊)」「Hate(不快)」の頭文字を取って、独自のフレームワーク「7つの鬱憤 WARPATH」を編み出した

 これら7つはどれも生活者にたまった「鬱憤」という感情でくくれる。鬱憤という感情を抱いているということは、その解決策を求めていることの表れだ。そのため、企業やブランドが取り組むべき課題や世の中へのコミュニケーションを考えるうえでの足掛かりになりやすい。「7つの鬱憤 WARPATH」とは自分が調べたいテーマに、鬱憤にまつわる言葉を掛け合わせて光るn=1を探し出す方法だ。

 7つの鬱憤 WARPATHは、n=1で見つけた不満などを問題に言い換えるのにも役立つ。「〇〇が難しい問題」「〇〇したくない問題」「〇〇が信じられない問題」という風に「〇〇問題」の〇〇の部分に、上記の7種の鬱憤に関連したワードを組み合わせる方法だ。次にそうした7つの鬱憤 WARPATHに関連したワードの具体例や、フレームワークを使った具体的な検索方法を紹介しよう。

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