n=1(たった1人の声)を分析する手法はマーケティングや商品開発などの大きなヒントになる。筆者らはこれを「ソーシャルハンティング」と名付けた。第1回では、従来のSNS分析の手法「ソーシャルリスニング」とソーシャルハンティングの違いや取り組む意義、マーケティングのヒントにつながる「光るn=1」を見つけ出す3つの方法を解説する。
「PR」とは、「パブリック(社会との)リレーションズ(関係構築)」を意味する。筆者自身、電通PRコンサルティングでPRに携わる者として「企業・組織やブランド・商品」が「社会やステークホルダー」と良い関係性を築くためのコミュニケーションづくりを手掛けてきた。中でもここ2、3年で注力しているのが、SNSに表出する1人のホンネに注目し、企業のブランディングやコミュニケーションに役立てる取り組みだ。
生活者の行動や体験、考え・価値観などを含め、ホンネがリアルタイムに発露されやすいのがSNSだ。現代社会では、日常生活にSNSが溶け込み、個人の心の内が投稿という形で表に出やすくなっている。SNSに投稿された生活者のホンネは広く拡散されて、商品やサービスにプラスの影響を与えることもあれば、大炎上して一夜にしてブランドが失墜するといったリスクもはらむ。影響度の大きさからも、いまや企業はSNSの声を無視することはできなくなっている。
そうしたホンネの“たった1人の声(n=1)”の中に、まだ世の中に広く注目はされていないが、一定数の人々が共感する、あるいは問題視する現象や考え方・価値観が隠されていることがある。筆者は長いときで1日7~8時間かけてソーシャルメディアの声を見続けた結果、そこにPRのヒントであり、光るn=1が透けて見えるようになってきた。こうして試行錯誤を繰り返すなかで生み出したのが、n=1の声を拾う「ソーシャルハンティング」術である。
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