※日経エンタテインメント! 2022年5月号(4月4日発売)の記事を再構成
既に大きな反響を生んでいる作品から春スタートの新作、テレビアニメ化作品まで、読んでおきたい『少年ジャンプ+』の注目&お薦め作品を紹介する。
次の100万部閲覧を狙う伸び盛りの2作品
まずは、次の100万閲覧を狙う伸び盛りの2作品から。
『株式会社マジルミエ』の舞台は、魔法少女が職業として認められ少女たちが属する企業が500社を超える世界。女子大生の桜木カナは就職活動中にたまたま出会った越谷仁美に導かれ、株式会社マジルミエに魔法少女として就職することに。自分でも気づかなかった驚異的な記憶力を武器に、カナはどんなお仕事ぶりを見せるのか。原作の岩田雪花と作画の青木裕は共に初連載でタッグ。「魔法少女ものとお仕事ものをうまく合わせていて新鮮。これから期待できそうだなと思っています」(細野編集長)。毎週水曜更新。既刊2巻。
昨年12月にスタートした『エクソシストを堕とせない』は、強大な力を持ち、「サタンを倒すために生まれてきた」少年が、ある1人の少女との出会いによって成長していく姿を描く。原作は有馬あるま、マンガはフカヤマますく。「最初はラブコメ展開かなと思っていたら、本格バトルアクションになっていき、絵もストーリーもとても盛り上がってますね。コメントも多くて、『株式会社マジルミエ』『アンテン様の腹の中』と3本そろって読者からの支持もすごく感じます」(細野編集長)。隔週水曜更新。既刊1巻。
今春スタートの新作5作
この春登場する期待の新連載5作品もいち早く紹介。3月6日にスタートしたのが針川智也によるバトル・ファンタジー『ステージS』、続く3月29日には、yatoyatoによるオトナかわいいラブコメディ『恋人以上友人未満』。4月20日には原作:静脈、漫画:依田瑞穂が描く『マリッジトキシン』が始まった。
『ステージS』の主人公、高校生の浮世めぐるはある日「未来視ができる」というしゃべる白い蛇と出会い、やがて運命に抗うべく過酷な道へ歩み出す。めぐるの12年に及ぶ片思いの末に付き合うことになった幼なじみの竜海紗良との関係は必見だ。毎週日曜更新。
元AV女優・宮子がお見合いで再会したのは、まさかの元仕事相手!? お互いの秘密を握り合う2人がつき合うことになり…!? 『恋人以上友人未満』は元AV女優×元AV男優のピュアピュアが大炸裂。毎週火曜更新。
『マリッジトキシン』は殺し屋×結婚詐欺師の世界一ハードな婚活物語。令和まで数百年続く殺し屋一族の青年・下呂。女性は「苦手で縁遠いもの」であり、結婚は「するべきではないもの」と考えていたはずなのに、なぜか結婚詐欺師に婚活の協力を頼むことになり…。毎週水曜更新。
「作家さんの準備ができたら始めるのが『ジャンプ+』の基本スタンス。連載を大挙して同時開始といった企画などはあまり考えておらず、それぞれに一番いいタイミングで作品を送り出したいと思っています」(細野編集長、以下同)
編集者がつかず、閲覧数に応じて原稿料が加算されるシステムを持つ「インディーズ連載」からは、アンギャマンの『ラーメン赤猫』とマシーナリーとも子の『スシシスターハンター』が登場。
『ラーメン赤猫』はラーメン×猫の至極の癒しコメディ。猫だけが営むラーメン屋で働くことになった人間の珠子が任された仕事とは。『スシシスターハンター』は、寿司屋でシスターでハンターな淑女(?)が贈る、衝撃のバトルコメディ(ワサビ入り!)だ。
「インディーズ連載は始まって1年たってないくらいで、いろいろ試行錯誤しながらではありますが、読まれる作品が徐々に出てきています。僕らが手を加えないインディーズ連載からヒット作が出てくると、また状況が変わって面白くなるだろうなと。描き手の方々にとっては自由に描ける、かつ多くの人が来るところに載せられるのも、『少年ジャンプ+』にとって新たな魅力となりそうです」
これからアニメ化の必見マンガ
1月期には初期からのヒット作『終末のハーレム』のテレビアニメが放送され、4月期は『SPY×FAMILY』の他にも、青春ラブコメ『阿波連さんははかれない』、SFサスペンス『サマータイムレンダ』のテレビアニメがスタート。『地獄楽』、そして『チェンソーマン』の放送も控えるなど、『少年ジャンプ+』発のアニメ化が止まらない。
海外へのリーチに必要不可欠
細野編集長も「アニメ化は、国内はもちろん、海外へのリーチ、認知度アップに欠かせません。発表前で進行中の企画もありますし、これからも継続的にやっていきたいと思っています」と話す。
『鬼滅の刃』の世界的な同時ヒットの状況を見ても、現在アニメ化がマンガの海外展開において欠かせないピースなのは明らか。『サマータイムレンダ』は、ディズニープラスで全世界に配信されるのも注目される(中国本土を除く)。
「Netflixさんとは新人発掘の『MILLION TAG』で組んだりもしてますし、ワールドワイドの動画配信サービスの存在感は年々増しています。僕ら的に1番注目しているのは、日本と同時に海外展開できる点。その影響は、今後さらに大きくなっていくだろうなと思います」(細野編集長、以下同)
では、アニメ化には編集部としてどのようなスタンスで関わっているのか。「編集者や作家さんによってケースバイケース」としながらも、「アニメによってマンガのいいところや、マンガでは見えなかったものを引き出してもらって、作品全体のステージを上げてもらえるので、制作スタジオの方々との信頼関係をしっかり作るのが大事。『地獄楽』のアニメPV(21年12月公開)もすごく良かったですし、アニメ化で作品だけでなく『ジャンプ+』の媒体の認知も広がるので、これからの新作に期待したいです」。
『サマータイムレンダ』『地獄楽』は、連載終了後のアニメ化。「そこは今後課題になる部分」と言う。
「ただ、連載が終わっていても、合わせて読み切りを載せるとか、少しだけ復活というのも『ジャンプ+』ならしやすいです。『サマータイムレンダ』は、放送に合わせて番外編の掲載が決まっています」
アニメ化によってさらなる広がりを予感させる『少年ジャンプ+』。次なる作品も楽しみだ。
『週刊少年ジャンプ』の話題の新作が期間限定で無料
『SOUL CATCHER(S)』の新海英雄の最新作で、『週刊少年ジャンプ』で2月にスタートし大きな話題となっている『地球の子』も、『少年ジャンプ+』で3話が無料で試し読みができる。何の能力も持たない普通の少年が出会った運命の女性は、人知れず地球を守るヒーローだった。純愛の先に待ち受ける試練とは――。