※日経エンタテインメント! 2022年5月号(4月4日発売)の記事を再構成

舞台『刀剣乱舞』の山姥切国広(やまんばぎりくにひろ)など、多くの人気キャラクターを体現する荒牧慶彦。第一線の役者でありながら、プロデュース公演にも着手。2.5次元界をけん引する荒牧の次の一手は?

荒牧慶彦
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荒牧慶彦(あらまき・よしひこ)
1990年2月5日生まれ、東京都出身。舞台『刀剣乱舞』、MANKAI STAGE『A3!』などに出演し、人気を拡大。映画、ドラマ、声優と幅広く活躍。俳優10周年記念公演『殺陣まつり~和風三国志~』(12月、明治座)をプロデュース。これに合わせて、新人男性俳優を募集するオーディションも開催する

――舞台『刀剣乱舞』をはじめ、MANKAI STAGE『A3!』、『ヒプノシスマイク-Division Rap Battle-』Rule the Stageなど、数々の舞台で主要キャラクターを演じる荒牧慶彦。饒舌な細目の芸人、天然の役者志望の若者など、変幻自在に役になりきり、圧倒的なけん引力を誇る、2.5次元人気の立役者の1人だ。“道なき道”といわれてきたこのジャンルをどう切り開いてきたのか。

 改めて2.5次元界を振り返ってみると、僕がミュージカル『テニスの王子様』に出演していた時代は、まだ「2.5次元」という言葉が浸透しておらず「原作モノ」と呼ばれることが多くて。マンガやアニメが大好きな僕にとって、2.5次元舞台に立つことは天職だけど、当時は「モノマネ舞台」という言葉を投げかけられることもありました。でも僕は「必ず時代が来る」と確信を持っていたので、2.5次元舞台に立ち続けることを決めたんです。

 2.5次元界が大きく変わったのは、『刀剣乱舞』シリーズが登場したとき。ゲームを原案として舞台オリジナルのストーリーを生み出すという新たな手法が生まれたこと、また「舞台」と「ミュージカル」がそれぞれ制作されたことも斬新でした。『刀剣乱舞』という作品自体に“引っ張っていく力”があった気がします。その魅力にひけを取らないように頑張ってきました。

 2.5次元の舞台に立ち、懸命に演じ続けたことで、テレビ出演などの機会が増えました。最初は1人でバラエティ番組へ出演させていただくことが多かったのですが、既に出来上がったプラットフォームに僕が1人で入り込むには限界があることに気がついて。状況を打破するには、「2.5次元」というパッケージごと乗り込むしかない(笑)。その思いに事務所スタッフや番組側の方たちが応えてくださったおかげで、“2.5次元チーム”として戦友たちと一緒に出演するようになりました。

 そして、この4月からは『ろくにんよれば町内会』(日テレ系)という僕たちの冠バラエティ番組も始まります。また1つ夢がかないました。

「2・5次元は進化し続ける」

――今年、デビュー10周年を迎える荒牧。2.5次元舞台を活動の中心に据え、その良さをより多くの人に知ってもらいたい。「覚悟を胸に舞台に立っている」と語る。

 2.5次元舞台のキャラクターを演じるのは想像よりも大変です。原作がある場合、ストーリー展開やキャラクターを知った上で舞台をご覧になる方が多いので、役作りのハードルも高い。舞台化に対して原作ファンの方が否定的な意見を持つ気持ちが僕自身も分かるので、僕たちは誰よりも演じるキャラクターや作品の世界観を理解して、みなさんが納得できるものを作らなければならない。その覚悟を持って舞台に立っています。

 人間がキャラクターを演じるので、俳優によって役の解釈も違う。それを受けて作品への理解が深まり、原作の新しい良さに気づくことも少なくありません。キャラクターが舞台に立つ姿のリアルさと役者の熱量を直接感じられるのは魅力だと思います。

10周年、新たな挑戦

 今年で僕も俳優活動10周年。僕は個人事務所「Pasture」の社長ですが、あくまでも俳優です。俳優という立場ではありますが、「業界全体を活気づかせることのできるコンテンツを生み出したい」と思って提案したのが、昨年10月公演の「バクマン。」THE STAGEでした(2.5次元界の第一人者である)鈴木拡樹さんとのW主演で、舞台で水を使用する演出も新しく、非常に手応えを覚えました。2.5次元舞台は、常に成長を続けています。

 今年は本格的にプロデュースにもチャレンジします。6月には日本武道館で、俳優たちでチームを作りオリジナル演劇を披露する「演劇ドラフトグランプリ」を、12月には明治座で『殺陣まつり~和風三国志~』を上演します。明治座公演に伴い、僕の事務所「Pasture」で新人男性俳優オーデションを開催するので、新しい才能に会えるのも楽しみです。

 自ら企画・プロデュースを行うことで、仲間や後輩たちと新しい世界を表現して、ファンの方たちにもより楽しんでいただきたい。その結果として2.5次元界が盛り上がることを願っています。

演劇ドラフトグランプリ 俳優たちのドラフト会議で共演者や演出家を選出し、オリジナル演劇を制作する荒牧プロデュース企画。6月14日の本番は日本武道館での有観客開催のほか、ライブ配信も予定
演劇ドラフトグランプリ
俳優たちのドラフト会議で共演者や演出家を選出し、オリジナル演劇を制作する荒牧プロデュース企画。6月14日の本番は日本武道館での有観客開催のほか、ライブ配信も予定
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プライベートトーク
Q 好きなお味噌汁の具は?
A お母さんが作ってくれる、なめこと豆腐が入ったなめこ汁です。

Q 最近良かったエンタメは?
A Netflixオリジナルドラマ『今、私たちの学校は... 』。面白くて一気に見てしまいました。新しいゾンビの形を見た気がします。Netflixでランキング上位にある作品はチェックしますね。

Q 座右の銘は?
A 「開拓者」で(笑)。何事も、新しい道を切り開く開拓者でありたいです。
衣装協力/ジャケット7万1500円、シャツ5万2800円(ATSUSHI NAKASHIMA /THÉ PR TEL:03-6803-8313) その他スタイリスト私物

(文/小林 揚 写真/藤本和史 スタイリスト/中山寛己 ヘアメイク/鈴木りさ(Agate))