
スキマスイッチの常田真太郎さんがプロデュースしたサッカーグラウンドが2022年6月19日、長野県白馬村にグランドオープンした。幼い頃から岩岳の麓のロッジに通い続けてきたこともあり、「白馬のために何かしたい」と一念発起。岩岳リゾート(長野県白馬村)の和田寛社長とも連携しながら、音楽フェスの立ち上げにも尽力するなど白馬の活性化に一肌脱ぐ。常田さんの白馬に懸ける熱き思いとは。
幼い頃からの白馬愛を「サッカー場」に込める
特集「白馬の挑戦」では岩岳リゾートの和田寛社長にフォーカスを当て、「白馬岩岳マウンテンリゾート」の躍進と、同社長がこれまで展開したマーケティング戦略をひもといてきた。さらに岩岳リゾートの名物社員や、集客の原動力となった展望テラス「HAKUBA MOUNTAIN HARBOR(白馬マウンテンハーバー)」を設計した建築家、絶景ブランコ「ヤッホー!スウィング presented by にゃんこ大戦争」を手掛けたクリエイター、山頂の音楽フェスをプロデュースした元キマグレンのISEKI(井関靖将)さんなど、多くのキーパーソンへの取材を通して和田社長の“熱血”ぶりと白馬のポテンシャルについて検証してきた。
実は、忘れてはならない人物がもう1人存在する。音楽ユニット、スキマスイッチの常田真太郎さんだ。岩岳マウンテンリゾートのグリーンシーズン到来を告げる一大イベント「HAKUBA ヤッホー! FESTIVAL」の目玉でもある音楽フェス実現に向け、和田社長にISEKIさんを紹介したのは常田さんで、自らもフェスの舞台に立ち観客に向けて“白馬愛”を歌い上げた。
実は常田さんは、子供の頃から家族と毎年のように岩岳のロッジを訪れ、白馬との絆を深めてきた。この地域に対する思いは、和田社長に決して引けを取らない。白馬の「外」に活動拠点を置きながら、ことあるごとに「中」からの視点で地域の動向を見つめてきたという。
2022年6月19日には、白馬村内に自らプロデュースしたサッカーグラウンド「Acalie HAKUBA MIRAIフィールド(アカリエ・ハクバ・ミライ・フィールド)」をグランドオープンさせた。サッカーだけでなく多目的に球技を楽しめるグラウンドで、競技用の人工芝を敷いたのは村内でも初めてのこと。
もともとサッカー好きのアーティストとして知られる常田さんだが、いかに白馬のためとはいえ、ここまで入れ込むケースも珍しい。宿泊施設の廃業が相次ぐ村内の状況を受け、「自分にも何かできないか」と地元の人々に相談。状況を打開する方法を模索し続け、白馬への地域貢献を目的に既存のグラウンド改修に乗り出した。大会や合宿の誘致を通じてスポーツ文化を醸成し、グリーンシーズンの地域活性化を促すのもこのサッカー場の狙いだ。
グランドオープンの記念イベントには常田さん、ISEKIさんの他、元日本代表や元なでしこジャパンのサッカー選手に加え、当時白馬村の村長だった下川正剛氏、観光事業者、近隣のジュニアサッカーチームなど多くの招待客がグラウンドに集結した。もちろんその中には和田社長率いる“チーム岩岳”の面々も顔をそろえた。彼らの前で、常田さんは「村民の皆さんや、子供たちのために使ってほしい。関東に住んでいる僕にとってはすぐに来られる場所ではないが、僕の名前には関係なく、白馬村のために(このサッカー場を)つくったつもりです」と思いを述べた。
グラウンドの運営を手掛ける活動母体は、21年に設立された一般社団法人P.A.A.S(パース、長野県白馬村)。P.A.A.Sは常田さんを発起人とする有志のプロジェクトで、非営利目的でアーティストとアスリートによる社会貢献活動を行う。これまでも、Jリーグやなでしこリーグなどの前座試合を行うチーム「SWERVES(スワーブス)」での活動や、心臓病の子供たちに寄付をする募金活動といった活動実績がある。
常田さんがAcalie HAKUBA MIRAIフィールドをつくり上げる際、岩岳リゾートのチームと交流して親睦を深める中で得た情報が不可欠だったという。そこで今回は特集の“番外編”として、白馬で培った人々との縁を絶やさず活動を続ける常田さんに、Acalie HAKUBA MIRAIフィールド開業に至った背景や、チーム岩岳とのつながり、長年にわたる白馬への思いについて話を聞いた。
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