
2019年4月にLINE公式アカウントを開設し、LINE上で使えるデジタルプリペイドカード「LINEスターバックスカード」を提供するなど、LINE活用にいち早く着手したスターバックス コーヒー ジャパン(東京・品川)。LINE活用先進企業がLINEの購買データを基にしたパーソナライズマーケティングにかじを切る中、同社のLINEでの情報発信は意外にも「一斉配信」がメインだという。
本特集ではLINEのマーケティング活用の新常識として「メッセージの一斉配信をしない」を挙げ、LINE上で取得できるデータを基にしたパーソナライズコミュニケーションの実例を紹介してきた。しかし、その例外もある。強いブランド力を生かし、LINEでの一斉配信をうまく活用しているのが、スターバックス コーヒー ジャパン(以下、スターバックス)だ。
同社のLINE公式アカウントは22年4月末時点で累計友だち数が810万人、LINEスターバックスカードの発行数も260万枚に上る。21年にはLINE上でのモバイルオーダーにも対応した。
LINEスターバックスカードはタップのみで簡単に新規発行が可能なバーチャルカードで、事前に入金した残高で店頭でのキャッシュレス支払いができる。LINE IDと購買情報がひもづいているため、各ユーザーの購買行動に基づいたパーソナライズマーケティングができそうだが、スターバックスのLINEでの情報配信は新商品情報などの一斉配信がメインだという。なぜなのか。
パーソナライズ配信への反応は弱かった
スターバックスでは会員向けに、新商品などの情報をメールとモバイルアプリのプッシュ通知、LINEの3つを使用して発信している。そこで、「ユーザーの購買情報などに基づいてパーソナライズしたメッセージをLINE上でも配信してみたが、メールやモバイルアプリよりも反応が弱かった」(スターバックスコーヒージャパン デジタル戦略本部本部長の濵野努氏)という。
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