オンライン接客 vs リアル接客 第6回

Twitterを代表としたSNS(交流サイト)やビデオ接客、ライブ配信接客など、あらゆるシーンに広がりつつあるオンライン接客。どれも“生身の人間”であるスタッフが中心となり顧客との間でさまざまなコミュニケーションを行うが、新型コロナウイルス禍のタイミングで台頭してきているもう1つの流れが「AI(人工知能)接客」だ。

 眼鏡ブランド「Zoff(ゾフ)」を展開するインターメスティックが21年11月に本格スタートさせたのがバーチャル試着サービス「Zoff Virtual Counter(ゾフ バーチャルカウンター)」。スマートフォンで眼鏡の試着体験ができるサービスで、アップロードした自撮り写真にさままなタイプのフレームを合成でき、気に入ればそのままEC(電子商取引)サイトで購入できる仕組みだ。

 同社は、2021年の創業20周年を迎えるに当たり、リブランディング事業の中核として研究・開発機関「Zoff Eye Performance Studio(ZEPS)」を20年に設立。「デジタル技術を活用した商品の研究や開発、物流改革などを進めていくプロジェクトの一つのテーマとしてデジタルによる新たな購買体験という企画があった。当時はちょうど新型コロナウイルスが広まりはじめた頃。買い物体験が一気にデジタルへシフトするのではないかという見方もあり、そこで出たアイデアの一つが眼鏡のバーチャル試着だった」とインターメスティック Zoff Eye Performance Studio 米田涼氏は振り返る。

質問に答えていくと、自分の顔に合ったフレームがレコメンドされる
質問に答えていくと、自分の顔に合ったフレームがレコメンドされる
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 バーチャルカウンターの特徴はAI(人工知能)によるレコメンド機能だ。自撮り写真をアップロードして目の位置を設定した後、「眼鏡のタイプ」「主な用途」「なりたいイメージ」「希望のフレーム色」といった4つの質問に回答するだけで、AIがユーザーの顔に“似合っている”とする最大18タイプのフレームを提示する。気になった商品をタップすれば自撮り写真上でバーチャル試着ができる仕組みだ。「バーチャル試着そのものはZoffのさまざまな眼鏡に対応しているが、1000本以上あるすべてのフレームを試すのは現実的ではない。Zoff Virtual Counter内にあるレコメンド機能のZoff Matchでは『これがお薦めです』という候補をAIが店舗スタッフのように提案することで、フレーム選びの最初のきっかけをつくることができる」(米田氏)。実際の店舗でも、「フレームの種類が多すぎて選べない」「試着したフレームが自分に似合っているかどうか分からない」と店舗スタッフに相談するケースは多いという。

 レコメンド用の独自AIは、同社のスタッフを総動員して開発した。まず、全国約2000人の販売員に協力してもらい、店舗にあるフレームを試着した顔写真を約17万枚用意。その後、接客経験が豊富な約720人のベテランスタッフがそれぞれの画像を「似合っている/似合っていない」など複数の項目でタグ付けし、教師データとしてAIに学習させた。「1人でフレームを選ぶとどうしてもデザインや方向性が偏ってしまうが、独自開発のAIなら簡単な質問に答えるだけで、自分では選ばなかったような意外なフレームに出合える。自宅にいながらでも、店舗スタッフの接客を受けているようにお薦め商品を試す体験ができる」(米田氏)。

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