
もはや販売スタイルのスタンダードとなりつつある「オンライン接客」。そこに求められるスキルは何か。リアル接客とのすみ分けはどうすればいいのか。アパレルブランドでのSNS(交流サイト)チーム運営を経験後、バニッシュ・スタンダード(東京・渋谷)で、同社サービス「スタッフスタート」導入企業のスタッフのファンづくりをサポートするTSUKASA.氏に、オンライン接客の現状や成果を出すためのポイントについて話を聞いた。
オンライン接客と一口に言っても、さまざまなスタイルがあります。例えば、「ビデオ接客」や「ライブ配信接客」です。ビデオ接客は、お客様とスタッフがLINEなどのテレビ電話ツールを使って「1対1」で画面越しに向き合うスタイル。対してライブ配信接客は、多くのお客様を一堂に集めて動画を配信する「1対n」のスタイルですね。21年にバニッシュ・スタンダードが開催した“令和のカリスマ店員”No.1を決める「スタッフ・オブ・ザ・イヤー2021」では、ビデオ接客やライブ配信接客などを最終審査に取り入れたのですが、オンライン接客のスタイルによって、求められるスキルも違ってくることが明確に分かりました。
1対1で行うビデオ接客では「ニーズをくみ取るスキル」が重要になります。オンラインという環境や特性を十分に理解したうえで、お客様のニーズをどのように引き出すかということが大切です。ビデオ接客では、お客様はたいてい自宅にいます。リラックスした環境でコミュニケーションを取りながら、普段の生活やどんなものが好みなのかといった情報をくみ取って商品を提案していくのが定石ですね。
リアル店舗での接客とは違って、ビデオ接客では写っている部屋の様子から趣味や嗜好が分かるといったメリットがあります。置いてある小物などから雑談力で会話を広げ、お客様の潜在意識やニーズをくみ取ったり、話を盛り上げたりすることができますよね。「最近買った洋服をちょっと見せてください」とお願いして、それに合わせた商品を提案できたりもします。初めてビデオ接客に立ち会ったときには、そこに大きな可能性を感じました。
リアル接客と同じ点、違う点は? 大事なのは「コメント対応」
ビデオ接客であまり意気込みすぎると「商品情報を伝えたい!」「とにかく売りたい!」という欲が出てきてしまいますが、そこをぐっと抑えて、何が最善の答えなのかをお客様から引き出すというのは大前提。そういう意味では、ビデオ接客はリアル店舗での接客と一緒です。「オンラインで接客」と聞くと「できない! 難しい!」と苦手意識を持ってしまう人がいますが、普段から店頭できちんとした接客をしているのであれば、それが単に画面越しになっただけ。お客様が何を解決したいのか、本当はどういうものが好きなのか、といったことを接客でくみ取るという姿勢はリアル接客と基本的に同じです。
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