2022年5月2日発売の「日経トレンディ2022年6月号」 ▼Amazonで購入する では、「2022年上半期ヒット大賞&下半期ヒット予測」を特集。酒類では、28年ぶりに復活したアサヒビールの「アサヒ生ビール」が想定を大幅に上回るヒット。下半期は、サッポロビールの「サッポロ 三ツ星グレフルサワー」といったクラフトサワーが台風の目になりそうだ。
※日経トレンディ2022年6月号より。詳しくは本誌参照
2021年春に泡が湧き出す「アサヒスーパードライ 生ジョッキ缶」で業界を驚かせたアサヒビール。今度は、28年ぶりに「アサヒ生ビール」を21年9月に復活させ、成功に導いた。想定を大幅に上回る出荷ペースで、発売後3日で休売を発表したほど。復刻版も当時の通称「マルエフ」(Fは不死鳥に由来)と呼ばれる。
供給体制を整えて11月に再発売すると、年内に計画を上回る229万ケース(1ケース大瓶633mL20本換算)を出荷した。22年に入っても勢いは衰えず、「1〜3月で146万ケース」(アサヒビール)と好調が続く。スーパーなどでは、350mLの缶ビールの合計売り上げがサッポロビール「黒ラベル」に並ぶ快挙を達成した。
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マルエフがヒットしたのは、コロナ禍による消費者の嗜好の変化をうまく捉えた点にある。コクや切れの強さよりも、癒やしのある味を好む層が増えているのだ。マルエフの特徴は独特のまろやかさにある。アルコール度数が4.5パーセントと低めで、炭酸ガス量もスーパードライより抑えた。
ビールの大型リニューアルの流れは22年にも続く。アサヒビールが、スーパードライを発売以来36年目にして初めてのフルリニューアルを実施し、飲んだ瞬間の飲み応えをアップさせた。20年10月の酒税法改正でビールの販売価格は下がっており、ビール党が増えるかもしれない。
レモンサワーなど缶入りアルコール飲料の分野では、“期待の新人”が支持を集めた。サントリースピリッツの「翠ジンソーダ缶」だ。20年3月に同社が発売した国産ジン「翠」をソーダで割ったもので、ユズやショウガなどの和素材を使うことで日本人家庭の食卓に並ぶ料理に合いやすい味わいに仕立てた点が受けた。
22年2月にコンビニエンスストアで先行販売すると、「あるチェーンでは、9割以上の店舗に商品を展開。新商品としてはかなり高い露出で、好スタートを切った」(酒類業界関係者)という。3月には全国発売が始まり、当初の年間販売計画である150万ケース(1ケース6L換算)の65パーセント超を約1カ月で販売。勢いを受けて、計画を250万ケースに上方修正している。
同社は08年ごろ、ウイスキーをソーダで割って飲む文化を根付かせる戦略で、「角ハイボール」をはやらせた実績がある。翠ジンソーダも居酒屋での展開を強化して認知度アップを図るなどハイボールと同様の作戦をとる。瓶入りの翠も21年には前年比236パーセントと大きく伸長しており、さらにブレイクする可能性がある。
下半期には、レモン以外の果物を採用したクラフト(工芸や技能の意味)を銘打つサワーが台風の目になりそうだ。サッポロビールがグレープフルーツサワーの専門ブランド「サッポロ 三ツ星グレフルサワー」を立ち上げたほか、サントリースピリッツもリンゴ味などをラインアップした「CRAFT –196℃」を発売。いずれもフレッシュな果実感を前面に押し出す。レモンサワーに飽き、目新しいものを探している消費者が飛びつく可能性がある。
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