
キリンビバレッジは、ブランドごとに「パーパス(存在意義)」を設定。2019年から継続してパーパスブランディングに取り組んでいる。パーパスが形骸化せずに活用できているのは、マーケティングの中心に据えているからだ。
キリンビバレッジの基幹ブランド「キリン 午後の紅茶」(以下、午後の紅茶)のブランドパーパスは、「いつでもお客様に幸せなときめきを届ける」。キリングループはグループ全体のCSV(Creating Shared Value=共通価値の創造)として、「健康」「コミュニティ」「環境」という3つを設定している。これらのテーマで展開するマーケティング施策をはじめ、どんな企画も必ずブランドパーパスのフィルターを通し、午後の紅茶らしいかどうかをチェックする。
キリンビバレッジ マーケティング部ブランド担当主査シニアブランドマネージャーの加藤麻里子氏は、こう話す。「ブランドパーパスを策定したことで、例えば『健康』というテーマを午後の紅茶らしく表現すると、こういうことだよね、という共通認識が持てるようになった。広告物やパッケージデザイン、店頭用の販売ツールなど、すべてにおいて『ときめき』や『かわいらしさ』といったトーン&マナーを大事にしている。一貫したマーケティングを行うために、ブランドパーパスは欠かせない」
2021年は、午後の紅茶の発売35周年という節目の年だった。「幸せの紅茶、35周年の午後の紅茶~あなたに届け!ありがとう。~」と題した年間テーマで、さまざまなブランド活動を展開した。21年の午後の紅茶シリーズの年間販売実績は、新型コロナウイルス感染症の流行なども影響して「前年割れだった」と加藤氏。だが、清涼飲料市場におけるブランド好意度は、前年比8ポイントアップ。ブランドを思い出す「純粋想起率」も同8ポイントアップ。純粋想起の中でも最初に思い浮かぶ「第一想起」は同20ポイントアップと大幅に向上した。
このコンテンツ・機能は有料会員限定です。
- ①2000以上の先進事例を探せるデータベース
- ②未来の出来事を把握し消費を予測「未来消費カレンダー」
- ③日経トレンディ、日経デザイン最新号もデジタルで読める
- ④スキルアップに役立つ最新動画セミナー