
老舗洋菓子メーカーのユーハイム(神戸市)は、2022年の日本開業100周年を機に、ブランドの再構築(リブランディング)に取り組んでいる。次の100年に向けて原点に立ち返り、経営戦略を刷新。企業理念を見直し、「パーパス(存在意義)」を策定した。
ユーハイムは2022年3月、神戸元町本店をリニューアルオープンした。22年はユーハイムが日本に初出店してから100年という節目の年で、次の100年に向けてリブランディングに取り組んでいる。神戸元町本店のリニューアルはその一環で、全国のユーハイムも順次リニューアルしていくという。
同社は、00年ごろからユーハイムのブランド力を生かし、同じ製品カテゴリーでブランドを増やすマルチブランド戦略で業績を伸ばしてきた。だが、時代のニーズや環境の変化などを受けて経営方針を見直し、20年ごろからリブランディングに着手。ユーハイムの原点に立ち返り、展開中のブランドは今後、「ユーハイム」に統一していく計画だ。
食品添加物を使わない「純正自然」と称した「お菓子づくり」と「職人技」を軸に、従業員が一丸となってお菓子の価値を広めていこうという考え。「私たちがやるべきことは、100年前から受け継いできたレシピは変えず、無添加でおいしい今の時代のユーハイムのお菓子を作ること。それを次の世代に受け渡していくことが使命だと思っている」(ユーハイム社長の河本英雄氏)
同社は、新型コロナウイルスの流行以降、2つの工場を閉鎖し、全国の30店舗を閉店した。河本社長は「100周年に向けてお祝いムードを高めていくはずが、100年に一度の危機となった」と話す。そうした状況を乗り切るためにも、22年3月、大切に守ってきた歴史を振り返りながら企業理念を再定義。リブランディングの指針として「お菓子には世界を平和にする力がある」というパーパス(存在意義)をはじめ、ミッション(使命)やバリュー(価値観)、プリンシプル(行動規範)も策定した。HAKUHODO DESIGN(東京・港)の協力を得た。
このコンテンツ・機能は有料会員限定です。