パーパスブランディング最前線 第8回

コンサルティング会社のSMO(東京・港)では、10年以上前からパーパスを起点としたブランディング支援を手掛けている。パーパスとは何か。なぜ今、重要なのか。齊藤三希子代表取締役に聞いた。

齊藤 三希子(さいとう みきこ)氏
SMO(エスエムオー)代表取締役
電通に入社後、電通総研への出向を経て、2005年に齊藤三希子事務所(後にエスエムオーに社名変更)を設立。「本物を未来に伝えていく。」をパーパスとして掲げ、パーパスブランディングを日本でいち早く取り入れる。21年7月、著書『パーパス・ブランディング~「何をやるか?」ではなく「なぜやるか?」から考える』(宣伝会議)を出版

――まず、改めて「パーパス」とは何か教えてください。

齊藤三希子(以下、齊藤) 各企業やブランドの「なぜ、私たちは存在するのか」という問いに対する端的な答えが「パーパス」です。パーパスは、企業の強みと情熱、世の中のニーズが重なりあった部分で、判断や行動の「よりどころ」となります。マーケティングでは、強みだけでなく弱みも見ていきますよね。しかし、パーパスは強みと情熱を伸ばしていく考え方なので、見いだすときに弱みには注目していません。

――「ミッション、ビジョン、バリューズ」とパーパスの違いは。

齊藤 まず、パーパスは「なぜ存在するのか」という問いに対する「今」の答え。一方、ビジョンは「将来、こんな自分たちになりたい」「こんな世界をつくりたい」といった構想で、「未来」に向けたものです。ミッションは、パーパスとビジョンを実現するためにやるべきこと。バリューズは、ミッションを成し遂げるための行動指針のようなものです。

 ミッションとビジョンは、ビジネスシーンで使われることがほとんどだと思います。しかし、パーパスは日常でも使われる。米国では「my purpose」「our purpose」といった言葉をよく耳にします。

 パーパスから考えるブランディングを、パーパスブランディングと呼んでいます。明確な存在理由を策定したうえで、魅力的なコンセプトや実行可能な戦略を設定し、的確に実行していく。つまり、最初にパーパスを見つけ出すことで、ぶれないブランディングが可能になります。

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