
30年以上の歴史がある花王「クイックル」ブランドは、より長期的に顧客との関係を構築する鍵として、ブランドの「パーパス(存在意義)」を設定した。コアターゲットの実像に迫り、そこから導き出したパーパスだ。パーパスを浸透させるコミュニケーション施策、ソリューション提案により、1回当たりの購入個数が増加する成果が出ている。
手軽な掃除道具として、老若男女幅広い人たちに愛されてきた花王の「クイックル」。クイックルブランドの最初の商品「トイレクイックル」が誕生したのは1989年。現在は「クイックルワイパー」「クイックルハンディ」「クイックルワイパー立体吸着ウェットシート」「クイックルホームリセット」など、さまざまな商品を展開している。
花王は2019年4月にESG戦略「Kirei Lifestyle Plan」を公表した。そこには19の重点取り組みテーマが設定されており、その1つが「パーパスドリブンなブランド」だ。これを受けて各ブランドがコミュニティーや社会課題の解決につながる「パーパス(存在意義)」を掲げ、事業活動に取り組んでいる。クイックルもその1つである。
各ブランドがパーパスを定める狙いは、顧客との長期的な絆づくりにあるという。ホームケア事業部ブランドマネージャーの佐鳥翼氏は、「ブランドが提供する社会的価値をしっかりとお客さまに伝え、理解されることが、お客さまとの絆づくり、ブランドへの愛着につながると考えているため」と語る。持続可能な社会を実現するうえで、各ブランドが存在する意義を改めて定義し直す目的もある。
約半年かけてパーパスを作成
19年2月、クイックルのパーパスを定めるに当たり、佐鳥氏やクイックルに携わるマーケティング担当の社内メンバーに加え、広告代理店など外部メンバーの約10人が集まり、プロジェクトチームを発足させた。メンバーに広告代理店を入れたのは、多様な価値観を取り入れることで、より社会に共感されるパーパスになると考えたからだ。
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