パーパスブランディング最前線 第5回

未利用資源を発酵技術でアップサイクルするファーメンステーション(東京・墨田)は、創業12年目の2021年4月に「パーパス(存在意義)」を設定。「ミッション」や「ビジョン」は設定せず、パーパス1本で勝負する。「全員が心から理解できる」ことを最優先し、約半年間悩んだ末に決めた。

研究開発型スタートアップのファーメンステーションは、創業以来数人のメンバーで運営していたが、20年にメンバーが一気に10人に増えた。そのタイミングで、同社の決意として改めてパーパスを表明することに
研究開発型スタートアップのファーメンステーションは、創業以来数人のメンバーで運営していたが、20年にメンバーが一気に10人に増えた。そのタイミングで、同社の決意として改めてパーパスを表明することに

 ファーメンステーションは2009年の設立。創業12年目を迎えた21年4月に「Fermenting a Renewable Society」というパーパスを改めて設定した。ミッションやビジョンは設定せず、あえてパーパス1本で勝負する。代表取締役の酒井里奈氏は、「どんな人でも覚えられることを第一に、『心から全員が理解できるパーパス1本』でいこうと思った」と話す。

 Fermenting a Renewable Societyは、「Fermenting(発酵)」「Renewable(再生可能)」「Society(社会)」という3つの言葉から成り立っている。1つ目のFermentingには、同社の基盤である発酵技術に加えて、同社の事業活動を通じて周囲の物事や関係性が「発酵する」という意味を込めた。「発酵」という言葉そのものは、「微生物を使って有機物を人類に有益なものにする」という意味だが、広義に捉えると「何かから、さらに価値のあるものが生まれること」と読み取ることもできるだろう。同社の事業が微生物のような働きを担い、周囲に良い変化をもたらし続けたいと考えた。

 2つ目のRenewableは「未利用資源が生まれ変わって良くなる」という意味。Regenerate(再生)やSustainable(持続可能)ではなくRenewableにしたのは、変化をきっかけに「今までよりも良くなる」ことを最も重視したからだ。

 3つ目のSocietyは、ファーメンステーションの根幹にあるもの。手掛ける事業が「多様な未利用資源をアップサイクルする」という同社には、様々な社会との接点がある。その関わりを常に意識し続けるため、非常に大切な言葉だった。

パーパスを発表する際は、会社のメンバー全員が集まってミーティングを行った。画像のスライドは実際にミーティングで使用したもの。酒井氏は創業以来、「事業性と社会性の両立へのチャレンジをしたい」と考え続けていたが、それをしっかりと言葉で示したのはそのときが初めてだったという
パーパスを発表する際は、会社のメンバー全員が集まってミーティングを行った。画像のスライドは実際にミーティングで使用したもの。酒井氏は創業以来、「事業性と社会性の両立へのチャレンジをしたい」と考え続けていたが、それをしっかりと言葉で示したのはそのときが初めてだったという

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