2022年5月2日発売の「日経トレンディ2022年6月号」 ▼Amazonで購入する では、「格安キャンプ道具100」を特集。キャンプ用品業界に新興勢力が相次ぎ参入を果たし、価格破壊が起こっている。業界を震撼させたのが、2022年から本格参入したワークマン。海外勢や100円ショップ勢もキャンプ市場を狙っており、まさに群雄割拠の様相だ。

※日経トレンディ2022年6月号より。詳しくは本誌参照

たき火台やテントなど、キャンプ用品業界に価格破壊が起こっている
たき火台やテントなど、キャンプ用品業界に価格破壊が起こっている

 近年、キャンプ用品業界に激震が走っている。新興勢力が相次ぎ参入を果たし、価格破壊が巻き起こっているのだ。もともとスノーピークなどの高機能、高価格なブランドと、コスパの良いロゴスやキャプテンスタッグなどのブランドがあったが、さらに低価格な選択肢が次々と現れている。

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 2020年以降のコロナ禍でキャンプブームが加速すると、ニトリやコメリ、カインズなど、家具や生活用品を展開するホームセンター勢が、市場の伸びに目を付けた。「もともと、売り場には既存ブランドを中心にキャンプ用品が置かれていたが、最近では自社のPB商品を大幅に拡充し、需要を取りに行こうとしている」(キャンプ系人気YouTuberのFUKU氏)

 例えば、コメリでは、21年に約80品目、22年は約40品目を追加し、商品数は合計約350品目にも及んでいる。調理器具やBBQコンロなどから、テーブル、チェア、テント、タープ、シュラフ、たき火台まで用意。PB商品だけで、宿泊を伴うキャンプに必要なアイテムが一式揃うようになっている。

 しかも、こうしたホームセンター勢のPB商品は、既存ブランドの売れ筋を参考に、品質は保ちながら機能は最低限必要なものだけにそぎ落として、価格競争力を付けているものも多い。結果、既存ブランドの半値以下で購入できるケースもあり、そのコスパの良さに初心者が飛びついた。大手スーパーのイオンも本格的に参入しており、まさに群雄割拠の様相だ。

既存ブランド

■コールマン
■コールマン
高級路線のスノーピークを筆頭に、コールマン、ロゴス、キャプテンスタッグなどが以前から業界で人気の主要プレーヤーだ

ホームセンター・スーパー勢

■コメリ
■コメリ
従来、家具や生活用品をPBで作ってきたホームセンター勢がキャンプ用品も自社で展開。キャンプ場だけでなく、自宅の庭やベランダでも手軽に使えるように、デザインや使い勝手を工夫している。本格的なテントも格安で投入

ワークマン

 さらに、業界を震撼させたのが、22年からワークマンが本格参戦し、常識を打ち破るほど格安なアイテムを投入したことだ。例えば、ソロキャンプ用の「BASICドームテント 1人用」は、既存ブランドだけでなく、ホームセンター勢の本格的なソロテントと比べても安かった。アウトドアライターの関美奈子氏も、「換気用のベンチレーションや収納ポケット、ランタンフックまで備えているのに5000円を切るのは驚異的な価格。シンプルな設計かつカラーも豊富で、これからキャンプを始めようと思っている初心者にぴったり」と語る。

■ワークマン
■ワークマン
2022年2月、作業服大手のワークマンがキャンプ用品市場に参入。衣類で培った防融、防虫加工といった機能性素材をテントなどにも活用することでコストダウンを実現。テント、ローチェア、寝袋など5点で1万円以下の初心者用セットも展開する

海外ブランド

 一方、海外勢も日本のキャンプ市場を虎視眈々と狙っている。その代表格は、19年に日本に上陸した、フランスのスポーツ用品メーカー・デカトロン。同社は、「2秒で設営できる」が売り文句の2 SECONDS テントシリーズのワンタッチテントなど、独自性とコスパの高さから支持を集めている。このテントは、生地が遮熱・遮光に優れ、豪雨にも耐え得る防水性が特徴だ。

■デカトロン
■デカトロン
海外勢でコスパがよい代表といえばデカトロン。シュラフが税込み2490円、深鍋、フライパン、2人分の食器などのクッキングセットが同6290円など、リーズナブルな商品が多い。また、遮熱、遮光に優れた生地など、独自機能の製品も多数

中華ブランド

 業界では生産拠点として“世界の工場”になっている中国からも、中華ブランドが続々と進出してきている。「玉石混交でどれがよいかの見極めが難しいが、例えば、正規代理店が運営しているネイチャーハイクジャパンに加え、SOOM LOOMといったブランドは比較的品質が高く、選択肢に入る」(FUKU氏)。これらの中華ブランドも、シェアを伸ばしているのだ。

■ネイチャーハイク
■ネイチャーハイク
アマゾンなどでは、中国系ブランドのキャンプ用品が破格の安さで数多く売られている。その中で、品質も高いのがネイチャーハイクの商品だ。2020年から日本での展開を本格化し、日本限定カラーが提供され、アフターサービスも整備されている

100円ショップ勢

 また注目株なのが、セリアを筆頭に、ダイソーやキャンドゥも本格参入を果たしている100円ショップ勢だ。19年、セリアでは、火花を飛ばして火起こしができる、税込み108円(当時)のファイヤースターターがSNSで大きくバズり、売り切れ続出の大ヒット商品となった。その他、ミニ鉄板やステンレスマグカップ、ステンレス製食器プレートも同110円で販売し、業界の風雲児となっている。

 ダイソーでは、テーブルやチェアが各550円、寝袋やテント(サンシェードタイプ)が1100円(いずれも税込み)など、比較的大物のキャンプ用品も激安価格で提供している。こうした100円均一ショップでは、キャンプ用品コーナーが一年を通して常設されており、今後も台風の目になりそうだ。

■セリア
■セリア
小物を中心に、激安品を探せるのが100円均一ショップ。「テント・シートクリップ 2P」は、一部のテントの裾など、ハトメがない部分を固定するのに役立つ

ガレージブランド

コアなキャンパーの間で人気となっているのが、ガレージブランドだ。小規模な店や個人が、独自性のあるアウトドアギアを作り出し、販売している。クラウドファンディングを活用するケースも多い。写真はマクアケで900台以上売れたflamesのたき火台
コアなキャンパーの間で人気となっているのが、ガレージブランドだ。小規模な店や個人が、独自性のあるアウトドアギアを作り出し、販売している。クラウドファンディングを活用するケースも多い。写真はマクアケで900台以上売れたflamesのたき火台

(写真/小西 範和、PIXTA)

注)格安キャンプ道具100は、「日経トレンディ」2022年6月号に掲載しています。日経クロストレンド有料会員の方は、電子版でご覧いただけます。
▼関連リンク 「日経トレンディ」(電子版)
「日経トレンディ2022年6月号」の主な内容を紹介
【格安キャンプ道具100】
●U4万円! 初心者が買いそろえるべきソロキャン最強グッズを選定
●超格安でも機能は十分? ワークマンのキャンプグッズを検証
●プロが推薦! 格安キャンプ道具逸品カタログ
●即席シャワー、簡易ハンモック…などアイデア逸品が続々
●「ゆるキャン△」一大ブームの背景、新作映画公開、作中登場グッズ集
●インタビュー 「ゆるキャン△」各務原なでしこ役
 花守ゆみり(アニメ版)/大原優乃(ドラマ版)
【2022年上半期ヒット大賞&下半期ヒット予測】
●【食品】「冷凍」の活用やコラボの拡大で即席麺競争が激化
●【飲料・酒類】コーラもサワーもクラフト化。ビール大物の復刻&刷新も
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●スペシャルインタビュー 松坂桃李
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