やみくもにAIを導入すれば、土屋氏が目指した「全社員がデータ活用人材になり、新たな活用方法を生み出していく」という方針に逆行することになる。そこで「なぜ売れるのか」を示す因果関係が解明できたものはAIに任せていいとの考え方を採ることにした。
エクセル分析をしていくと「Aが売れるとBが売れる」といった相関関係が見えてくる。その背景にある「なぜAが売れるとBが売れるのか」という理由が因果関係だ。「(従前からのワークマンの顧客層だった)職人のお客さんであれば因果関係を読み取るノウハウはある程度たまっているが、一般のお客さんは読み切れないことがある」と長谷川氏は言う。
「梅雨が明けると、なぜか子供用の身に付ける小物が売れる」。そんな現象が発見できたとする。エクセル分析だけでは、どうしてもその理由が読み取れない。そんな時にはヒアリングをする。店頭の来店客にiPad上でアンケートの設問を示し、10店舗で1000人といった規模の回答を得る。その答えを読み解くと「梅雨の時期には、子供の持ち物が雨や泥で汚れる。だから梅雨の時期は多少古くても使い切ってしまいたい」といった購買にまつわる心理が見えてくる。
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