ツールの導入・刷新の目的が明確に見えてきたところで、いよいよ「ステップ1:ツールのトレンド調査」に入っていく。この部分は、マーケツールにまつわる利用実態のアンケートをまとめた本特集の第2回 ▼関連記事:発表! マーケツール利用調査 CRMやMAはセールスフォースが圧倒 も参考にしてほしい。並行して「ステップ2:現状課題/要望の整理」や「ステップ3:ツール刷新/導入メリットの整理」を進める過程でも、場合によっては新しいツールの導入は不要と判断することもあるという。

(22年2月掲載の特集「マーケツール導入/乗り換えの極意」を細分化したものです。)
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 「ツール導入を検討するうえで、社内から収集したアンケートなどを参考にするが、その時点では、なぜ導入すべきなのかが深掘りができていないケースが大半」(田島氏)。深掘りすることで、課題解決のポイントはツール以外にあると結論付けることもある。

 例えば、「ツールが使いづらい」と課題が挙げられた場合、それを真に受けるとUI(ユーザーインターフェース)重視でツールを選択することになる。だが、実態は運用を委託している外注先が、導入しているツールの利用が不得意で、使いづらいという要望を挙げているのかもしれない。「運用業務を請け負う企業ごとに、ツール利用の得意・不得意が異なるケースは多い」と田島氏。それであれば、ツールの刷新ではなく、むしろ外注先の変更が候補に挙がる。アンダーワークスが支援した会社でもそのような結論に至った実例はあるという。

 これを避けるために、アンダーワークスがツールの導入・刷新を支援する場合、事業会社や外注先などの関係者のうち誰が、何をするのかといった業務フローを明確化する。そうすることで、挙がってきた要望や課題の本質が見えてくる。こうして課題や要望を整理し、「ステップ4:ツールで解決可能な課題選別」をして、課題と導入するツールのギャップを埋めていく。

 ギャップを埋めることで過剰な機能を持つツールの導入防止につながる。多機能であるほど、導入コストは比例して高額になる。加えて管理画面が複雑になり、使いこなせる人材も減っていく。「要望・課題の本質を突き詰めて、本当に必須の機能と任意の機能を見極めていく」(田島氏)。垣内氏も「将来的に必要なるかもしれないと考え、中長期を見据えて高機能なツールを入れても、すべての機能は使われないことが多い。よほどのことがない限り、最初から高度で高額なツールが必要になることはない」という。身の丈にあったツール選びが肝要だ。

 「ステップ5:Fit&Gap」では本来の目的に対して、導入するツールの機能にずれがないかを検証する。必須機能や導入目的を明確化するため、特に労力をかけるべきだろう。ここまでが、第1フェーズ「導入検討」となる。

 次は第2フェーズ「比較・検討」だ。ここでやるのは「ステップ6:製品比較と絞り込み」で、いよいよ具体的な選定に入る。アンダーワークスでは2段階で絞り込む。最初の段階では10~20製品をリスト化し、網羅的に比較する。これをフェーズ1で明確化した導入目的などに照らし合わせて、3~6に絞る。ここからより精緻に比較する。比較のポイントは「機能」「価格」「ベンダー」「運用・インフラ」の4つだ。

大掛かりなツールを導入する場合は「機能」「価格」「ベンダー」「運用・インフラ」の4つで比較する
大掛かりなツールを導入する場合は「機能」「価格」「ベンダー」「運用・インフラ」の4つで比較する

 正しく比較するうえで、田島氏と垣内氏は「対象ツールベンダーで必ずコンペティション(コンペ)を実施すべきだ」と口をそろえる。例えば、「営業担当者に機能の有無を尋ねると、すべて有ると答える傾向にある」(田島氏)。だが、実態はカスタマイズが必要だったり、拡大解釈していたりするケースは多い。「よほど詳しくないと、見抜くことはできない」(田島氏)。そのツールで本当にできるのかを見極めるためにもコンペが必要になる。

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