コロナ禍でも持ち帰りに強い「ケンタッキーフライドチキン」が改革を進めている。デジタルトランスフォーメーション(DX)によって、顧客満足の向上、従業員の働く環境を改善する。日本KFCホールディングスの判治孝之社長は「もっとお客様に近づき、KFCのブランド価値を体験してもらいたい」と話す。(聞き手は日経MJ編集長 永井伸雄)
日本KFCホールディングス社長
――新型コロナウイルス禍での売れ行きはどうですか。
判治孝之氏(以下、判治) 以前は持ち帰りとイートインの比率は7対3と、持ち帰りのブランドでした。働く人、お客様に安心してもらえる環境を整え、お店をあけ続けました。その結果、売り上げの9割が持ち帰りになりました。
前年の反動で、2022年4~6月期の既存店売上高は前年同期比マイナスでしたが、19年のコロナ前比ではプラス。中期的に成長軌道は維持できているのかなと。
――22年6、7月の値上げの影響はありましたか。
判治 正直いうと現時点ではわかりません。コロナの影響、値上げ、キャンペーンの効果について、まだ切り分けができていません。足元、また、コロナの感染が拡大してきていますし。客単価は若干は上がり、客数は若干減るというのは予想通り。その上でお客様をどう呼び戻すか。
――リモートワークの普及で、ランチ需要に変化はありますか。
判治 イートインがメインのお店なら、コロナ感染が広がると影響は大きいですが、当社は基本、ランチでも持ち帰りがメインなので特段はないかなと思います。
――値上げは今後も続きますか。
判治 鶏肉は国産ですが、配合飼料の原料はほぼ輸入。ポテト、揚げ油も輸入原料で、円安の影響はこれからも。ただし、競争が激しい業界ですし、お客様も値上げへの抵抗感は大きい。簡単には答えは出せません。
――500円ランチはどうしますか。
判治 あまり詳しく言いたくないですね(笑)。低価格帯、中価格帯、高価格帯という縦軸に、横軸はターゲットとなる客層。どのお客様に、何を訴求するか。中期経営計画で「エブリデイブランド」を打ち出し、より普段使いしてもらいたい。それにはワンコインのメニューを訴求しないと。通年か、期間限定か。狙うのは新規客か、リピーターか。いろいろな条件を勘案して、コストとのバランスで決めるので、非常に悩ましいです。
マクドナルド、モスバーガー、あるいは牛丼といった競合もいます。KFCのバリューを評価していただける中身、値段にしないと。最後は価格かもしれませんが。
世界レベルのKFCで代替肉の開発も進行中
――普段使いというとシニア客も大事ですね。
判治 もともとヘビーユーザーの方も多くて、引き続き来てもらえる施策が求められます。将来のお客様としての若者はマクドナルドに比べると弱くて。顧客の掘り起こしのためのメニュー、キャンペーン、SNS、デジタル対応も必要になってきます。
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