ユーチューブの日本語版が開設されてから2022年6月で15年となった。ゲーム実況やエクササイズなど、クリエーターによる多種多様なコンテンツ力を武器に利用を伸ばしてきた。登録者数が10万人、100万人以上のチャンネル数は21年にそれぞれ前年比3割増えた。きたるコロナ後の展望をどう描くか。ユーチューブ日本代表の仲條亮子氏に聞いた。

※「日経MJ」2022年6月29日付記事「『ファンダム』さらに後押し」を再構成したものです
仲條亮子・ユーチューブ日本代表
仲條亮子・ユーチューブ日本代表
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仲條 亮子 氏
ユーチューブ日本代表
在京局で番組制作に携わった後、ブルームバーグ日本法人にて営業統括、在日副代表を歴任。2013年にグーグル入社、テクノロジー業界の広告営業統括などを経て17年から現職。コンテンツ戦略や運用を統括、またユーチューブの信頼性向上への取り組みに従事

――コロナ禍でユーチューブを取り巻く環境は大きく変わりました。

仲條亮子氏(以下、仲條) コロナ禍によって様々な産業に制約があったが、特に芸能・音楽業界はそれが顕著だった。アイドルグループ「嵐」の二宮和也さんらがユーチューブに「ジャにのちゃんねる」を開設するなど、地上波やライブで活躍するタレントやアーティストの方々が、ファンの方々と時間を共有する場としてユーチューブを選びポジティブなメッセージを伝えてくれた。例えばアーティストの藤井風さんがユーチューブ上で行った無人ライブはコロナ禍を象徴したものとして鮮烈な印象を残した。

 「学び系」動画の需要はコロナ禍以前からあったが、視聴者の「おうち時間」が増えたことでフィットネスや料理など、自宅でできるコンテンツのボリューム感、熱量が爆発的に大きくなった。10万人、100万人以上の登録者数がいるチャンネル数は2021年に前年比35%増となった。

――動画視聴の方法にも変化があったのでしょうか。

仲條 インターネットに接続するいわゆるコネクテッドTVが著しい成長を見せた。21年の3月時点では、月間2000万人以上の人がテレビでユーチューブを視聴しており、そのうちの2割はほぼテレビ画面でのみ視聴していた。リビングで家族で一緒に視聴するのに適したコンテンツも増えている。

――巣ごもり需要が落ち着いて、ネットフリックスなどは会員数が減少しています。「おうち時間」が減ることによる影響をどう見ていますか。

仲條 世界では月間20億人、日本では同6900万人以上がユーチューブを利用し、1分間に500時間の動画がアップされている。まさに動画の図書館だが、利用者の目的は本当に様々だ。例えばエンターテインメント動画でリフレッシュしたり、リスキリング(学び直し)に利用したり。好きなアーティストのライブ配信を見てもいい。

 あくまでも私たちは、クリエーターにコンテンツを発表する「場」を提供するビジネス。「何かを見たい・表現したい」という視聴者やクリエーターのニーズが途絶えない限り、多様な要望に合わせたプラットフォームを支え続けることが使命だ。

ユーチューブは日本語版サービスを初めて15年がたった
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日本では「投げ銭」が他の国より多い

――ユーチューブを取り巻く日本ならではの特徴はありますか。

仲條 日本ではファンが作り上げるカルチャー「ファンダム」がかなり熱い。ユーチューブにもその傾向が顕著に現れている。クリエーターと視聴者のコミュニケーションの1つとして取り入れた投げ銭機能「スーパーチャット」などの利用度合いは他国に比べかなり高い。21年6月の時点で収益の大半を広告以外で得ているというチャンネルは日本で前年度比6割増となっている。

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