年々存在感が増している「ヌン活」。これまでアフタヌーンティーを楽しむ場の中心はホテルやレストランだったが、最近は屋外で楽しめるプランが続々と登場している。春風に吹かれながら、ロンドンバスや結婚式場の庭で、家族や友人と至福のひとときを過ごす人たちをのぞいた。
「5・4・3・2・1、出発!」――。初夏の陽気となった2023年4月中旬、東京・南青山で、威勢のいいアナウンスに合わせて、鮮やかな赤色のロンドンバスが動き出した。普段見慣れない乗り物に、歩行者の視線もくぎ付けだ。乗客が車内で楽しむのはアフタヌーンティー。地上4.3メートルの高さのバスの2階から都内の街並みを眺めながらヌン活するツアーなのだ。
車両広告を手がけるアップスター(東京・港)が22年8月に始め、季節に合わせてテーマを変えながら運行している。ロンドンバスを生かしたサービスを考えていた際に、ヌン活の人気に着目したという。
定員は20人で、開始から8カ月で約1万人が利用。お花見や新緑が楽しめる今の時期は特に人気だ。40代以上の女性が多く、東京観光の一環で乗車する人が目立つ。「今まで日本にはなかったエンターテインメントなので、目新しさがあり、支持されている」と担当する山田湧暉さんは話す。
この日は南青山を出発し、1時間半かけて東京ミッドタウン(東京・港)など都内の各所を巡った。窓から入る柔らかな風が心地よい。料理は春にちなみ、桜をイメージ。団子や最中のほか、ちらしずしなどが用意され、料金は6800円だ。
走行中に安心して飲食できる工夫も施されている。テーブルには穴が開けられ、飲み物ホルダーに。料理が置かれるスタンドの底には耐震マットが敷かれている。
訪日外国人の乗客も増加
東京都の主婦、蜂巣真佐江さん(49)は「普段とは違う景色を見られて新鮮。アフタヌーンティーも楽しめて一石二鳥の体験だった」と笑顔を見せる。祖母と参加した東京都の大学生、飯田来未さん(19)は今回が初めてのヌン活。「木と同じ高さで街を眺められるのはロンドンバスならでは。紅茶と和菓子もこんなに合うとは思わなかった」と声を弾ませた。
23年3月からは訪日外国人(インバウンド)も増え、全乗客の1割程度いるそうだ。この日も米サンフランシスコから来た4人グループが参加。男性は「東京の街並みが楽しみ」と話した。
愛犬と楽しむプランも続々
屋外ならばペットとのヌン活も楽しみやすい。
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