サウナブームが冷めぬ中、次に来そうなのが「瞑想(めいそう)ポッド」だ。宇宙船のようなポッドにすっぽりと収まり没入感を味わえる。光や音など五感を刺激する装置を使うことで、慣れていない初心者でもスムーズに瞑想状態に入りやすいといわれる。穏やかになれぬ今日このごろ、1人きりのカプセルの中で心を「ととのえる」体験がじわりと広まりそうだ。

※「日経MJ」2022年8月15日付記事「瞑想ポッドで『ととのう』」を再構成したものです
サウナの次は「瞑想ポッド」? 資生堂も導入、「ととのう」新体験
社内に置かれたメディテーションポッドで気軽に瞑想(東京・台場の乃村工芸社)

 東京・お台場にある乃村工芸社のオフィス。打ち合わせや社員のリフレッシュに使われる「リセットスペース」に22年7月、大きな楕円のポッドが現れた。米オープンシードが開発した「メディテーションポッド」だ。灰色の羊毛フェルトに包まれたポッドに社員が吸い込まれていく。

 使い方は簡単だ。ほんのりと光るポッド内に入り、ヘッドホンをして、約130種あるというプログラムから好きなものを選ぶ。「難しい人物に対応する必要があるとき」「仕事が山積みでどうしたらいいかパニック状態なとき」「やる気が出ないとき」――。タブレット端末には具体的かつ実践的なシチュエーションが並ぶ。

 さっそくポッドを体験した「瞑想初心者」の春名宏美さん(25)は「すぐにリラックスできた」と振り返る。「ポッドに入って呼吸を整えたら程よく力が抜け、その後のモチベーションが上がった」(春名さん)。光の演出や音声ガイダンス、空気の循環などでサポートすることで、リラックス効果が得られるという。

 新型コロナウイルスの影響で在宅勤務が増える中、瞑想ポッドがわざわざ会社に足を運ぶ理由になればとの狙いもある。「気持ちを切り替える空間があるのはいい。働きに来るだけのオフィスではなく、社員の健康やエンゲージメントを高める『働かないオフィス』があってもいいのでは」(橋本俊介主任)。ポッドの価格は設置費を含めて500万円ほどと、個人ではなかなか手が届きにくい。社内に置いておくことでオフィスに顔を出す理由が増える。

 メディテーションポッドのアジアの販売代理店であるラッセル・マインドフルネス・エンターテインメント(東京・港)の吉田真太取締役は「新型コロナの流行を契機に、問い合わせはそれまでの約5倍に増えた」と話す。

SHISEIDO旗艦店でも瞑想体験を提供

 音や光のほか、香りやじんわりした温かさで新感覚の瞑想体験にいざなうのは資生堂だ。2020年に東京・銀座に開業した主力ブランド「SHISEIDO」の旗艦店ではカプセルに入って瞑想を体験する「インナービューティーチャージ」を提供している。

ヘッドセットとヘッドホンをつけ、瞑想カプセル「ソマドーム」に入る(東京・銀座のSHISEIDOグローバルフラッグシップストア)
ヘッドセットとヘッドホンをつけ、瞑想カプセル「ソマドーム」に入る(東京・銀座のSHISEIDOグローバルフラッグシップストア)

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