酒蔵がつくるクラフトコーラの人気がはじけている。新型コロナウイルス禍で飲食店でのアルコール提供ができなくなり、蔵元は相次いで「地コーラ」の開発に着手した。酒づくりのノウハウを生かし、スパイスと地の食材を使ったコーラは品薄となる人気ぶりだ。酒離れが進む中、コーラは酒蔵の新たな活路になろうとしている。
※「日経MJ」2022年7月27日付記事「酒蔵発コーラ 人気はじける」を再構成したものです
茶褐色の液体がグラスの中で炭酸水の泡と混ざりあい、パチパチとはじける。神奈川県茅ケ崎市にある熊澤酒造併設のレストラン「モキチトラットリア」で提供される「蔵元コーラ」だ。
このコーラはまん延防止等重点措置が発令された2021年に「超特急で開発した」(熊澤酒造)。アルコールの提供禁止を受け、急きょクラフトコーラ作りにとりかかった。試作段階から「ダメだし係」として関わってきた水島功さんは「酒かすを熟成させた秘伝の熟成かすでうまみ成分を加え、熊澤酒造らしさを出した」と語る。
店での評判は上々だ。既製品のコーラとの違いから「初めての味という感想も多い」と水島さんは笑う。発売以降も味の改良を続けており、季節ごとに微妙に異なる味を楽しめる。車で訪れる旅行者からも好評だ。
クラフトビールの知見を生かしたコーラづくり
実は「コーラ」という飲み物に確固たる定義はない。主にコーラナッツやスパイスを煮詰めて作ったシロップ状のものを指すが、コーラナッツが含まれていない製品も多い。地の食材を取り入れやすく「せっかくなのでその土地のものを飲みたい」という人の需要も取り込みやすい。
岩手県の老舗酒蔵、世嬉の一酒造(一関市)が21年1月に発売した「こはるコーラ」も人気を集める。人気テレビ番組で紹介された効果もあり、5月には生産が追いつかずに一部で高額転売されたほどだ。
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