ヨウジヤマモト(東京・品川)が新たな販売戦略に乗り出す。2022年秋にも日米3カ所にOMO(オンラインとオフラインの融合)の直営路面店を出店するほか、7月20日に他社製品も扱うセレクトショップ機能を備えた電子商取引(EC)サイトを開設した。デジタルネーティブ世代を顧客に取り込み、ネット販売を強化するのが狙いだ。

※「日経MJ」2022年7月18日付記事「ヨウジヤマモト出店再開」を再構成したものです
ヨウジヤマモトが米ニューヨークに出店を予定するOMOの路面直営店のイメージ
ヨウジヤマモトが米ニューヨークに出店を予定するOMOの路面直営店のイメージ

 リーマン危機に伴う業績悪化で2009年に民事再生法の適用を東京地裁に申請して以来、ヨウジヤマモトが路面店を出店するのは初めてとなる。22年9、10月をメドに東京・青山、大阪・心斎橋、ニューヨーク・ソーホーにそれぞれ約200平方メートル(地下1階、地上1階)、約340平方メートル(地上1~4階)、約120平方メートル(地上1階)の直営の新業態店を開く。

 東京・青山の店は表参道交差点から根津美術館に抜ける通称“青山みゆき通り”にある青山本店の近接地に第2青山店として開く。大阪・心斎橋の店は鰻谷地区、ニューヨーク・ソーホーの店はウースター通りに開く。

 各店舗では物販スペースに加え、ショールーム機能を持たせるのが特徴。商品の展示だけでなく、大型スクリーンやQRコードなどを通じてショーや新作情報、ブランドの歴史を紹介する。顧客は店頭からでもスマホを使って好みの商品を注文できる仕組みだ。

東京・青山の新店のイメージ
東京・青山の新店のイメージ
大阪・心斎橋の新店イメージ
大阪・心斎橋の新店イメージ

 近年、国内の大手百貨店が売り場活性化を目的にOMOをうたった「物販主体ではない売り場」を相次いで導入しているが、衣料専門店にも同じ流れが広がってきた格好。イベントも開催し、デジタルネーティブ世代向けの情報発信拠点と位置付ける。今後、ロサンゼルスなどでもOMOの店舗開設を検討する。

 デザイナーの山本耀司氏は「デジタル化はコロナ後のビジネスモデルの新たなキーワードになるかもしれない」と話す。

新たな投資計画や服作りへの思いを語るデザイナーの山本耀司氏(ヨウジヤマモト本社で)
新たな投資計画や服作りへの思いを語るデザイナーの山本耀司氏(ヨウジヤマモト本社で)

セレクトショップ型ECサイト新設の狙いは?

 これに先行し、7月20日にセレクトショップ機能を持たせたユニークな独自サイト「ワイルドサイド」を開設した。ファッション、アート、コンテントの3分野で構成し、買い物のほかデジタル空間での情報交換、交流を深める場を目指す。

 ファッション分野ではヨウジヤマモトが企画生産したミリタリーやワークスタイルなどカジュアル衣料を扱うほか、同じ世界観を共有する「アンブッシュ」「マインデニム」「ニードルズ」「ヒステリック・グラマー」など日本で人気が高いストリートブランドとのコラボ商品も販売する。

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