中国発の新興ファッションネット通販「SHEIN(シーイン)」が存在感を増している。1日に数千種類の新製品を投入し、圧倒的な安さで世界に販売。東京や大阪に開いたショールームには若者が長蛇の列を作った。ESG(環境・社会・企業統治)の点で批判もあるが、日本ではアプリ利用者が1年で4倍になるなど勢いは止まらない。「ファッション界の『黒船』」に迫った。
「SHEIN TOKYO、オープンします。シーインの世界観をどうぞお楽しみください!」
2022年11月13日、午前11時。東京・原宿のキャットストリートに声が響いた。ネットが主販路のシーインにとって世界でもまだ珍しい常設ショールームだ。開店前には10~20代の女性を中心に約100人が並び、店の前は熱気に包まれた。
「めっちゃ買ってます」。開店前から並んだ神奈川県の女子大学生(22)は笑う。シーインの良さは「安いのにかわいい」ところだ。ワンピースは300~400円台から、指輪やブレスレットは100円台からと破格に安いものもある。
シーインで買うようになるまではスペインの「ZARA(ザラ)」やスウェーデンの「H&M」といった大手ファストファッションブランドなどで服を買うことが多かったが、シーインなら「1万~2万円で20アイテムくらい買える」。サイズ感が写真と違うなど当たりはずれはあるが「はずれは体感で2割くらい」なので満足している。
母親(46)と一緒に店を訪れた神奈川県の13歳と15歳の姉妹は「クラスの友達もほとんどシーインで服を買っている」と話す。「これまで(カジュアル衣料品店の)『WEGO』などで買うことが多かったけど、シーインは安くておしゃれ。ショールームがどういう感じか体験したくて来た」
中国発ファッション通販、日本でも急伸
「SHEIN TOKYO」は商品を販売しないショールームだ。服やアクセサリーを実際に手に取り、試着してもらうのが目的。女性ファッション誌「CanCam(キャンキャン)」がコーディネートしたマネキンなどで、日本に合うスタイリングを提案。来店者は気に入った商品のQRコードをスマートフォンで読み取り、シーインの通販サイトから購入する。
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