P&Gジャパン出身のマーケターが飲料メーカーからITまで幅広い業界で活躍している。消費者主義の徹底、共通言語で学びを共有するシステムなど同社の考え方や仕組みを学んだ人材に多くの企業が期待を寄せているようだ。P&Gジャパンのブランドマネジメント本部長や出身者の言葉から、同社流のマーケティングの極意を探る。
現在、P&Gジャパンでマーケティングを統括するブランドマネジメント本部長の小林洋貴氏は2008年に新卒で入社し、日本やスイスで紙おむつ「パンパース」などのシェア拡大に貢献した経験を持つ。現在は日本市場における衣料用洗剤のマーケティングと並行して、マーケティング部隊の組織運営や後身のコーチングに従事する。小林氏にP&G流の考え方を聞いた。
――P&Gの中でマーケティング部門はどんな役割を担っていますか。
一般的に「マーケティング」と言うと広告やキャンペーンだけを想起する人も多いが、P&Gでは最高経営責任者(CEO)として、「ブランドという会社」を経営する役割をマーケターが担う。ブランドを育てるのは全部署の仕事だが、マーケターはその中で戦略を立てリードしていく存在だ。
広告を作るのはマーケターの基本的な仕事の一つだが、ごく一部にすぎない。クッキー作りに例えると、最初の生地が企業のすべての業務。そこから研究開発、ファイナンス、生産部門など様々な部門の業務をそれぞれ型抜きし、そして最後に残っている生地にあたるもの、つまりバリューチェーンに関わる業務全てがマーケティング部門の業務内容だ。会議一つとっても、招集から進行、進捗確認に至るまでを指揮するリーダーシップが求められる。
1年目から第一人者たれ
――P&Gではマーケターは一般的にどんなキャリアを歩みますか。
座学は必要最小限で基本的にはOJT(職場内訓練)だ。まずはブランド全体ではなく、このブランドのこの製品、この製品のこのプロジェクトといったように部分的な担当から始まる。
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