原材料の高騰に伴い、食品の値上げが続いている。特に2022年10月は値上げが集中し、食欲の秋にもかかわらず、食卓に大きな打撃を与えた。2度目の値上げになった商品も少なくない。賃金の伸びは限定的で、家計防衛を余儀なくされる中、消費者はどう毎日の食事を工夫しているのか。家庭の食卓をのぞいてみると、様々な変化が見られた。
東京都文京区に住む会社員の女性(32)はスーパーに行ったとき、目当ての食材が高いと感じれば、別の安い食材で代用するなど工夫を重ねる。関西出身の両親の影響で、肉と言えば牛肉だったが、最近はカレーや肉じゃがを豚肉で作る。ナポリタンが食べたいときに玉ねぎが高いと感じれば、長ネギで代用し「和風ナポリタン」にする。
料理関連のネット・アプリサービスの利用状況からは消費者の様々な工夫が浮き上がってくる。
料理写真共有アプリ「スナップディッシュ」を運営するヴァズ(東京都武蔵野市)によると、足元での「値上げ」を含む投稿数は「前年比約10倍に増えている」という。家にあるもので済ませることを意味する「アルモンデ」を含む投稿数も同3.8倍に増えた。
そんな中でも食は「おいしいことが最重要」(同社)だ。「節約を我慢ではなく、価値を高める方向に楽しむ傾向がある」。盛り上がっているのは通常レシピから安い食材への置き換えだ。豚肉を手ごろなカニカマと豆腐に置き換えたシューマイなどのレシピのほか、家庭用合わせ調味料を使ったレシピで青ネギをニラに置き換えるなど工夫を凝らす投稿が目立つ。
東京都葛飾区に住む主婦(33)は食料の調達先として、ディスカウントストアの「アコレ」を選ぶことが増えた。酒は「カクヤス」、食材や調味料は「アコレ」やドラッグストアで安くそろえるという。「生鮮食品はふるさと納税をさらに活用したい」と話す。
「節約」はもう響かない?
レシピ投稿サイトを運営するクックパッドJapan執行役員の北井朋恵マーケティングソリューション本部長は「節約というワードはもう響かない」と語る。「消費者は新型コロナ禍が始まってから我慢が続き、疲れている。今は賢くまとめ買いした食材を賢く保存し、賢く料理するのがトレンド」。「業務スーパー」や「コストコ」で安く大量購入してきた食材をおいしいまま保存する方法を探すなど、楽しみながら家計の負担を減らそうという人が増えているという。
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