トレーディングカード(トレカ)の人気が女性にも広がっている。新型コロナウイルス禍で、家で遊べるゲームとして裾野が拡大したほか、ユーチューブなどで開封や対戦動画を目にする人が増えたのがきっかけだ。女性限定の大会を開いて、気軽に遊べるようにするカードショップも出てきた。強さにこだわったり、カードのキャラクターに「推し」を見つけたり、楽しみ方も様々だ。

※「日経MJ」2022年10月17日付記事「トレカブーム 女性のターン」を再構成したものです
カードショップのラウンジスペースではカードゲームを楽しむ女性の姿も目立つ(東京・秋葉原のクローブベース秋葉原)
カードショップのラウンジスペースではカードゲームを楽しむ女性の姿も目立つ(東京・秋葉原のクローブベース秋葉原)

 「攻撃!せいけんづきで100のダメージです!」

 「ハイパーボールで2枚トラッシュ!ポケモンを選びます!」

 2022年10月初旬、秋葉原のカードショップでは、女性の声が響いていた。都内在住の小池心さん(34)は21年末にポケモンカード(ポケカ)に「はまった」ばかり。「もともとポケモン自体が好きだったところに、知り合いに(ポケカの)沼に引き込まれた。ポケモンだけでなくトレーナーのキャラクターデザインもかわいくてすぐにはまってしまった」という。

 同じ空間で22年7月に発売されたばかりのアニメ「ワンピース」のトレカで遊んでいたのは鄭悠然さん(15)。1カ月前に始めたばかりで「それまではトレカ自体に触ったこともなかった」という。「もともとワンピースが好きなわけではなかったが、動画投稿アプリ『TikTok(ティックトック)』の開封動画で高額カードが出たのを見て興味を持って始めてみた」という。「ツイッターなどで仲間を見つけて対戦して遊んでどんどん仲間を増やしたい」と意気込みを語る。

 秋葉原で対戦の場になるラウンジスペースと、カードショップを併設する「clove base(クローブベース) 秋葉原」の畠中俊輝・ストアマネジャーは「従来は男性ばかりだったが、ここ半年で女性のお客が増えた。女性のみで来るケースはまだ少ないが、カップルや友達と一緒に女性もいるグループを数えると全体の2割ほどにまで増えた」と話す。

 「女性に人気のあるポケモンカードの流通量が増えて入手しやすくなったほか、22年7月にアニメ『ワンピース』、4月にスマホゲームの『シャドウバース』など女性に人気の出やすいキャラクター物のカードが相次いで発売されたことが一因」と分析する。

 その上で「コロナ禍では売り上げが減ると危機感を持っていたカードの卸も多かったが、逆に売り上げが増えたと聞いている。巣ごもり消費がきっかけとなり、裾野が広がったと考えられる」と指摘する。

カードショップを訪れ、お気に入りのキャラクターのカードを探す女性も(クローブベース秋葉原)
カードショップを訪れ、お気に入りのキャラクターのカードを探す女性も(クローブベース秋葉原)

「彼との会話 8割はポケカ」

 トレカは対戦を楽しむため、いかに強い「デッキ」(カードの組み合わせ)を組めるかを重視しがちだが、「推し活」として楽しむ人も。

 同店でカードを選んでいた26歳の女性会社員は「強いポケモンではなく自分が好きなポケモンを中心にデッキを組んでいる」と話す。「半年前にポケカにはまって、『ジャローダ』が好きになった。今日はそのポケモンの戦いをサポートできるカードを購入しに来た。(カードを1枚ずつ入れる)スリーブや(デッキごと入れる)カードケースもジャローダでそろえている。もはや推し活に近いかも」と笑う。

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