24時間営業を取りやめた大阪府東大阪市のセブン―イレブンのフランチャイズチェーン(FC)元オーナーが契約解除の不当を訴えた裁判は、2022年6月、本部が契約解除したのは正当との判決が示された。3年前に起きたこの問題をきっかけに、コンビニ本部はFCとの関係の再構築を模索してきた。共栄の道をどう実現するのか。店舗飽和時代の戦略を探る。
「判決は妥当で驚きはなかった。ただ、本部は二の矢、三の矢を恐れているはず」。大阪府内で別のセブン店舗を経営している男性オーナーは、こう話す。
判決ではブランドイメージの毀損が焦点の1つになった。今後の契約のあり方に一石が投じられたとみる。「これを機にSNSでの発信内容を中心に何がブランドイメージの毀損にあたるのか、フランチャイズ契約で明記されるようになるのではないか」と指摘する。
今回の裁判は人手不足などを理由に、自発的に24時間営業を取りやめ、時短営業とした東大阪市のセブン―イレブンとの契約を本部が打ち切ったことの是非が問われた。判決では、契約解除はお客に乱暴な言動を繰り返すなど元オーナーにセブンのブランドイメージを傷つける対応があったことが理由だと認定した。元オーナーは控訴した。
脱退した加盟店の連絡先など開示義務を明記したフランチャイズ法やFCの解約ルールを定めた法律が日本にはない。本部の振る舞いの何が優越的地位の乱用にあたり、どこまでが適切な指導の範囲内なのかも曖昧だ。弘前大学の長谷河亜希子准教授(経済法)は「個別の問題への対処の難しさは世界共通だが、韓国やオーストラリアでは頻繁にFC法が改正されており、本部に対する抑止力になっている」と話す。
裁判の発端となった時短営業。2019年当時、この東大阪の店舗に限らず、深夜帯のアルバイト不足などでオーナーに過度な負担がかかる店が続出した。コンビニはいかなる場合も24時間営業を死守すべきなのか、社会的な議論にもなった。公正取引委員会は20年、24時間営業の強制や値引き販売の制限は独禁法違反になりうるとの見解を提示。セブンやファミリーマートは対応として、19~20年にかけて時短営業の指針を策定し加盟店が時短手続きをしやすい体制を作った。
ただ、時短店はいまも全体の数%に限られているのが実情だ。セブンでは6月時点で切り替え実験中も含めて約1000店。約2万1000店ある国内店舗数の5%弱にとどまる。ローソンは442店舗で同3%弱、ファミマにいたっては644店舗(同約3%)で前年の756店舗から100店舗以上減っている。
なぜ時短店は広がらなかったのか。主に3つの理由がある。
コンビニ時短店が広がらなかった理由とは?
「かなり工夫しないと時短営業で利益を上げるのは難しい。本部は制度を整えるだけでなく時短ノウハウの共有までしてほしい」。時短営業をしたことのあるファミマのオーナーはこう話す。
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