若い女性の新しいレジャーとしてゴルフが人気を集めている。プレーだけでなく、コース上で「インスタ映え」するファッションも楽しみだ。こうしたゴルフ女子にアパレル各社も注目。かつてギャル文化をけん引した「セシルマクビー」など50以上のブランドが新たに名乗りを上げた。百貨店も関連衣料の取り扱いを増やしている。

※「日経MJ」2022年6月20日付記事「映えだってフルスイング」を再構成したものです
ビームスゴルフのインスタにはカジュアルなゴルフファションの写真が並ぶ
ビームスゴルフのインスタにはカジュアルなゴルフファションの写真が並ぶ

 「ゴルフにいったらまずインスタ」――。都内在住の会社員の小林佳奈さん(27)はコロナ感染が広がった2020年以降、友人を誘ってゴルフに行く機会が増えた。両親の影響で10年前からゴルフに親しんできたが「同世代とコースを回れるのはうれしい」という。

 小林さんにとってはコース上でのおしゃれも欠かせない。芝生に映える着こなしを考え、写真投稿アプリ「インスタグラム」に投稿する。友人とおそろいにするなどウエア選びにもこだわり、1回の買い物で1万円程度使うことも珍しくないという。

 都内に住む会社員の女性(31)も「コロナ下で楽しみにしていた海外旅行に行けなくなり、気分転換の趣味が欲しかった」とゴルフを始めた。初めてコースに出る際には好きなインフルエンサーがインスタグラムで紹介した有名ブランドのウエアを約5万円かけてそろえた。

 こうした女性のゴルフ熱の高まりを受け、往年の人気ブランドも関連衣料に参入してきた。「セシルマクビー」だ。

 同ブランドを運営するビリーフ(東京・渋谷)は、今年の春夏シーズンから新たにゴルフラインを立ち上げた。黒と白の2トーンの落ち着いた色合いのポロシャツやモックネックなどだが、最近の高級ファッションの潮流を意識してブランドロゴを大きく配置した。

 10~20代向けの「ギャル系」として一世を風靡したセシルマクビーだが、コロナ下の外出自粛や店舗休業などもあり、20年11月までに全国43カ所にあった店舗をすべて閉めた。現在は電子商取引(EC)などに販路を絞っている。

 新ラインは20代をメインターゲットとしつつ、全盛期の1990~2000年代に店に通っていた30代以上も違和感なく着られるようにした。シャツやスカートなど多くの定番アイテムが6000~8000円台と手ごろな価格で、ブランド復活に向けた起爆剤とする考えだ。

アパレルや百貨店は「ゴルフ女子」にアプローチ
アパレルや百貨店は「ゴルフ女子」にアプローチ

「3密」回避で注目、アローズも参戦

 コロナ下の「3密」を回避できる野外スポーツとして注目を集めたのがゴルフだ。経済産業省によると、1カ月平均のゴルフ場利用者数は19年の77万人から21年の85万人に増えた。若者も興味を持つようになり、女性ファンも増えてきた。

 男性はクラブなど用具類にこだわりがちだが、女性はゴルフ場でのおしゃれに対する関心も高い。苦境にあるアパレル業界はこうしたゴルフ女子に目を向ける。セシルマクビーのように「ゴルフ衣料に参入したアパレルブランドは直近1年ほどで50を超えた」(服飾業界関係者)という。

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