第3世代(3G)の携帯電話サービスの完全終了まであと4年。KDDIが今春終え、3Gの大半を占める「ガラケー」からスマートフォンへの買い替え需要が増すと携帯各社の期待が高まる。高速通信規格「5G」への移行が進むなか、3G利用者は最大2000万人。大半がシニア世代だ。頭打ちのスマホ市場の最後の伸びしろを巡る争奪戦が本格化している。
「3G他社ケータイ利用の皆さま ガラケー終了します!! ドコモのスマホへお乗り換えしませんか?」
2022年5月中旬、東京都内のNTTドコモの販売店「ドコモショップ」を訪れると、こんなポスターが張り出してあった。KDDIは22年3月末に3Gの携帯電話サービスを他社に先駆けて終了。ソフトバンクも24年に終え、ドコモが終了予定とする26年までには全ての3Gサービスが終わる。利用者は「4G」や「5G」の対応機種に変更する必要があり、各社は他社への乗り換えを含めて契約を見直す人が増えると期待する。
総務省によると、21年9月には5Gの契約者数が2922万件となり、3Gを初めて上回った。5Gへの移行が進む一方、21年12月末時点で3Gの契約数は大手3社の合計で、なお2074万契約にのぼる。
3Gの大半は従来型携帯電話の「ガラケー」で、中でもシニア層の利用者が多いとされる。KDDIは「3月時点の3G利用者は60歳以上が過半を占めた」と話す。なかなかスマホに切り替えない人が多いことから、業界では「岩盤層」と呼ばれる。この岩盤が3G終了によって動かざるを得ないというわけだ。
KDDIは3Gサービスの終了を発表した18年11月以降、移行を促してきた。まず、ダイレクトメールで案内を送付。移行の手数料を無料にし、スマホに加え、4G対応のガラケーでも一部無料で交換できる端末も用意した。「なるべく使い勝手を同じようにして、負担を少なくしたい」(同社)。電話や遠隔操作によるサポートサービスも無料で提供した。
21年からは反応のない契約者の自宅を訪問し、直接説明を始めた。その場で移行できるよう、端末も持参した。それでも移行が完了していない個人向け利用者は、22年3月末で25万台程度あったという。同社は対策として6月末までは電話番号とメールアドレスを使えるようにする。
MMD研究所(東京・港)が21年7月に60~79歳の男女1万人を対象に行った携帯電話に関する調査では、ガラケーの利用者は約1割を占めた。スマホへの乗り換えを検討する500人に、スマホを利用してみたいと思ったきっかけ(複数回答)を聞いたところ、「3G回線がもうすぐ終わる」が約3割で最多だった。
ただ、操作のしやすさからガラケーを続けてきた人も多く、スマホの操作に不慣れなシニアを減らす取り組みも広がる。
シニアの乗り換え、どう促すか
「皆さんのスマートフォンを見ながら説明します」。5月中旬、東京都町田市にあるソフトバンクの販売店「ソフトバンク成瀬」では、対話アプリ「LINE(ライン)」の使い方講座に6人の高齢者が参加した。ソフトバンクのスマホアドバイザー、皆木子竜さん(27)がLINEを使ったメッセージや写真のやりとり、友だちの追加方法について、受講者がノートをとるペースに気をつかいながら説明していた。
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