値上げの春。原材料高騰、円安などを背景とする食品価格の上昇が台所を直撃している。そんな中、快進撃を続けるのが、神戸物産がフランチャイズチェーン(FC)展開する「業務スーパー」(業スー)だ。他店にない品ぞろえと、類を見ない安さが消費者の心をつかんで離さない。店舗の省力化でさらなるコストカットを実現し、「激安」に磨きをかける。

※「日経MJ」2022年5月13日付記事「レア×お得 バズるPB」を再構成したものです
業務スーパー天下茶屋駅前店(大阪市)。長い冷凍庫は、深さを確保することで補充回数を減らせる
業務スーパー天下茶屋駅前店(大阪市)。長い冷凍庫は、深さを確保することで補充回数を減らせる

 「業スーにしかない商品が多くて楽しい。宝探し感覚だね」。大阪市内のとある業務スーパー。来店した60代の女性は同チェーンの魅力をこう語る。1年前から別のスーパーと併用しながら通い始め、今では週に1回来店する常連客だ。

 この日のお目当ては塩にトウガラシやエビの粉末、にんにくなどをブレンドした調味料の「シュリンプチリソルト」。神戸物産がベトナムから直輸入する、業務スーパー以外での購入は難しいプライベートブランド(PB)商品だ。

 神戸物産が約45の国々から直輸入する商品は今や1500超。他チェーンにない独自のラインアップによって顧客層は急拡大し、2022年10月期も8期連続となる過去最高益を見込む。業務スーパーの店舗数も今期中に1000店を突破させる計画だ。

快進撃を続ける業務スーパー
快進撃を続ける業務スーパー

「業スー」は台所の救世主 安さの秘密は?

 「おすすめ○選」「買ってよかったものBEST○○」――。ネットやSNS上には、ファンが自発的に投稿したPBの商品解説やレシピ紹介が目に付く。

 神戸物産のPBの特徴は他店にないようなものも多い。来店客にとっては掘り出し物を探す感覚でも買い物を楽しめる。しまむらで掘り出し物を探し日々買い物(パトロール)している「しまパト」のような現象だ。

 実際、近年、消費者発で話題になった商品は少なくない。例えば、冷凍の「桃まんじゅう」(15個入り、税別348円)。1個20円強とコスパもよく、桃のようなかわいらしい見た目で人気を集めた。調味料の「姜葱醤(ジャンツォンジャン)」や冷凍のタピオカなども話題をさらった。品ぞろえのコンセプトは大容量少品種。違いを出すためにほかのスーパーに置いていないような商品をあえて出すこともあり、話題をさらいやすい。

調味料の「姜葱醤(ジャンツォンジャン)」
調味料の「姜葱醤(ジャンツォンジャン)」

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