まん延防止等重点措置解除から約1カ月。飲食店への営業時間短縮の要請もなくなり、一部飲食店ではにぎわいが戻っている。ただ、2年にわたる新型コロナウイルス禍の生活が続いた結果、夜のはしご酒市場は変貌。2次会、3次会や「シメのラーメン」の需要は大きく落ち込んだ。コロナ後の夜の街をのぞいた。

※「日経MJ」2022年4月27日付記事「シメよさらば 9時に帰ろ」を再構成したものです
夜10時20分の大阪・北新地。人通りがまばらだ
夜10時20分の大阪・北新地。人通りがまばらだ

 深夜まで飲んでラーメンでシメる――。福岡・博多の定番の光景はコロナ禍で失われつつある。まん延防止等重点措置解除後も人が戻っているとは言いがたい。

 「お客さんは全然戻ってきていない」。この地で50年近く営業する老舗屋台「忠助」店主の白石幸生さんはため息をついた。かつて多くの屋台が深夜1時を過ぎても店を開けていた。客が多く集う日は明け方まで営業するのも常だった。

 夏日となった2022年4月の平日の夜。飲み歩くには最適な気候だ。にもかかわらず、中洲エリアでは午後11時を過ぎると閉店作業を始める屋台が目立つ。本来ならばかきいれ時のはずだが、シメのラーメンどころか人通りも少ない。多くの屋台と取引する食品卸会社勤務の女性は「売り上げはコロナ前の半分にも満たない状況が続く。回復している実感はない」と指摘する。

夜11時過ぎの中州の屋台。夜9時前には人通りもあったが……
夜11時過ぎの中州の屋台。夜9時前には人通りもあったが……

 博多で生まれ育った自営業の男性(41)は「真夜中に飲み歩いて、万が一のことがあったら怖い。特にサラリーマンはうかつに行動できないでしょ。地元の人間も慎重になっている気がする」と話す。福岡市によると、市内の屋台の軒数は30年間で半分以下に減った。足元では約100軒あるというものの営業する店の数はまばらだ。

ススキノ、横浜、都内の「夜」は回復している?

 国内有数の繁華街札幌市のススキノでは午後10時を過ぎると徐々に人影が少なくなってくる。ススキノのラーメン店「満龍」の石川直志社長は「客足は新型コロナ禍前の8割程度」と話す。ススキノで働く40代の女性は「感染対策が緩和されても、会社でまだ会食を控えるように言われているのか店に来ない人もいる」と寂しげだ。

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