※「日経MJ」2022年4月20日付記事「コメの逆襲 好機到来」を再構成したものです
小麦など穀物の価格が高騰する中、価格が比較的安定しているコメの存在感が高まっている。即席米飯の販売は好調に推移。亀田製菓は米粉パンのブランドを2022年3月に立ち上げるなどコメ需要活性化に向けた新たな取り組みも生まれている。家計調査の支出額でパンに抜かれて約10年。コメ復権に向けた現場を追った。
うどんチェーンの丸亀製麺を展開するトリドールホールディングス(HD)が2022年3月、「譚仔三哥(タムジャイ サムゴー)」の1号店を東京・新宿にオープンした。米から作った米線(ミーシェン)と呼ばれる麺とスープを合わせた料理を提供する新業態だ。
日本の消費者にはなじみの薄い料理だが、創業の地の香港では毎年3000万人以上が来店する人気業態だ。トリドールHDで海外事業を統括する杉山孝史常務は米線の魅力について、「もちもちした食感で、日本人好みだ。辛いスープに負けない麺になっている」と話す。24年3月期までに国内で25店舗を展開することを目標に掲げ、「うどん、そば、ラーメンに続く『第4の麺』として定着させられるよう力を注いでいく」(杉山常務)と意気込む。
小麦高騰、高まる米粉への関心
今、食品の材料としてコメに注目が集まっている。
「小麦の高騰を受けて米粉パンへの注目が集まり、取引先からの問い合わせが増えている」。亀田製菓の鈴木智子・食品事業部部長は、この春に立ち上げた米粉パン「Happy Bakery」への関心の高さに手応えを感じている。グループ会社のタイナイ(新潟県胎内市)とマイセン(福井県鯖江市)が持つ米粉パンの製造技術と商品を組みあわせた新ブランドだ。これまでグループで分かれていた米粉パンを統一ブランドとして展開することでシェア拡大につなげる狙いだ。
商品数は食パン(税別420円)と丸パンタイプの商品(3個入りで同300円)の計9品目を展開する。成城石井などの高級スーパーとネット通販を通じて販売しているが、「健康志向や小麦アレルギーを持つ子供がいる30~50代の女性を中心に売れ行きが伸びている」(亀田製菓)という。年度内にさらに3品目の新しい米粉パンを投入するほか、需要が大きい米粉の食パンを手がけるタイナイの工場への増産投資も視野に入る。
亀田製菓は「亀田の柿の種」や「ハッピーターン」などの米菓の国内最大手だが、鈴木氏は「お米は健康的な食材で栄養成分が豊富だ。食品としての可能性はもっとある」と話す。米粉を使ったクッキーを売り出すほか、米粉由来の乳酸菌を使った新ブランド「RiceBIO(ライスビオ)」も立ち上げるなど米菓以外のコメの可能性を探る。
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