2022年7月から大塚製薬がイオンなどで販売している「ポカリスエット リターナブル瓶」が、若者の心をがっちりつかんだ。支持を得る理由は、ボトルのデザインや色。老舗ブランドがなせるレトロ商品のド直球リバイバルで、若者を中心に次々とSNSに投稿された。
※日経トレンディ2022年11月号より。詳しくは本誌参照
ポカリスエット リターナブル瓶(大塚製薬)
爽やかなブルーの「瓶ポカリ」に熱視線 環境配慮をうたう商品に意外な発火点
老舗飲料ブランドが、「容器を変えただけ」で、若者の心をがっちりつかんだ。それが、2022年7月から大塚製薬がイオンなどで販売している「ポカリスエット リターナブル瓶」。ペットボトル飲料で親しまれているものを250ミリリットル瓶として発売したものだ。
メーカー希望小売価格は1本230円(税別)で、瓶を返すとデポジットの70円が返金される仕組み。循環型ショッピングプラットフォーム「Loop」を利用しており、空容器の回収などは、店頭のLoop専用の返却ボックスで行う。当初は首都圏など1都1府5県のイオンとイオンスタイルから販売を開始。出足は好調で、販売店はさらに広がっていく予定という。
なぜ現代にガラス瓶なのか。大塚製薬 ポカリスエット プロダクトマーケティングマネージャーの原康太郎氏は「ガラス瓶は回収・洗浄して繰り返し使える。大塚グループ全体で様々な環境への取り組みをしており、循環型社会の実現を目指すチャレンジの一つでもある」と言う。瓶にもラベルは貼らずに、ロゴは直接印刷。Z世代をターゲットにした商品ではないが、環境意識の高い若者も好感を抱きそうだ。
ただ、同商品が熱烈な支持を得る理由は別にある。爽やかなクリアブルーのボトルに、白いブランドロゴが描かれたデザインだ。「夏らしい」と高く評価され、海水浴など夏のレジャーとも相性は抜群。海辺や青空をバックに撮影された画像や動画が今夏、若者を中心に次々とSNSに投稿された。
また、瓶のデザインや色は、発売当初のポカリ缶を意識している。近年、Z世代にヒットする商品では「昭和レトロ」「平成レトロ」がキーワードの一つとなっているが、まさに老舗ブランドがなせるレトロ商品のド直球リバイバル。若者の支持を得るための手法として、他のブランドでも採用されていく可能性がありそうだ。
他にも、花瓶に使うといった別の使い方をする人も出現。環境への配慮という企業の意図からは外れるものの、いかにデザインが好まれているかをうかがわせる現象だ。「ネットへの若者の投稿も多く、環境についてのコメントや議論も目立つ。この商品が、何がエコなのかを考えるきっかけになればよい」(同)
近年は世代を問わず、生活者の心に響き、良いと思ったものは、素直に「良い!」と自身の言葉で広めてくれるようになったので、企業としても情緒的な伝え方もするなど、どうすれば響くのか試行錯誤している。汗をかき、挑戦する人を応援してきたポカリスエットが、常に生活者のそばに寄り添い、応援してくれるブランドと感じてもらい続けられるよう、これからも生活者に真摯に向き合い続けていきたい。
(写真/古立 康三)
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