※日経エンタテインメント! 2023年3月号の記事を再構成

注目のバーチャルタレントに、ニッポン放送の吉田尚記アナと一心同体の“バーチャル部下”である一翔剣アナが聞く連載。今回のゲストは、電脳世界の住人で「バーチャルYouTuber四天王」の1人として、黎明期から第一線で活躍を続ける電脳少女シロさん。配信のみならず、数々のテレビ番組への出演やイベントへの登壇、映画関連作品への出演、音楽活動など多岐にわたり活躍。現在も、『謎解き戦士! ガリベンガーV』(テレ朝系/土曜18時30分)にレギュラー出演しています。

電脳少女シロ(でんのうしょうじょ・しろ)
2017年8月12日生まれ。17年6月にYouTubeチャンネルを開設。18年にテレビ朝日系『サイキ道』にてVTuber初の地上波レギュラー番組MCを務める。数々のテレビ番組出演のほか、20年には世界初の出演者全員VTuberのサスペンス映画『白爪草』で主演(白椿蒼&紅)に抜てきされた

――どういうキッカケで動画投稿を始めたのでしょうか?

電脳少女シロ バーチャルの世界にひとりぼっちだったので、純粋に「お友達をつくりたい」と思ったからです。また、BABYMETALさんのファンでもあり、「シロも同じように人間たちを笑顔にさせたい」という気持ちになったことから動画投稿を始めました。BABYMETALさんのライブを拝見した時、破壊と再生で世界を切り開く類いまれなパワーを持ったアイドルが目の前にいて、すごく感動しました。清楚なだけではなく、前例がない型破りでカッコイイアイドルになりたいと思えたのは、そのおかげだと思います。

――シロちゃんといえば、清楚の型をいい意味で壊していますね。

電脳少女シロ そうなったのはまた別の理由がありまして…。動画投稿を始めた当時、電脳世界と人間界の接続が不安定だったので、1本の動画を撮るのに3日かけることもあったんです。同じゲームを何十回もプレーしていると、だんだん精神的にも追い詰められ、強い言葉での実況をしてしまったり。結果、クセの強い動画になりました。なので、そう思っていただけるのは不便のたまものです(笑)。

――それがキッカケで大ブレイク期に突入したと思うのですが、当時はどんな心境でしたか?

電脳少女シロ シロ自身、注目していただけるタイミングが来るべくして来たと思っていました。そのために活動していたので。結果、意外にも理性的に落ち着いて受け止めた気がします。当時はまるでお祭りのように吉報がシロの元に届き続けていたので、まずはお声掛けいただいた方たちの声に応えるべく、予定をたくさん詰め込みました。何か間違いを起こしてしまったら、これまで関わってくださった方たちの努力をあだにしてしまうと思い、「振る舞う時に意識すべきこと」をメモに書き起こして。収録の直前には毎回それを読み返して、1つひとつのチャンスを慎重にこなしていました。

――具体的にどんなことを?

電脳少女シロ まず、「今のシロがいるのはバーチャルYouTuberの先駆者であるキズナアイちゃんがいるから」という自分のルーツを忘れないこと。その根っこを忘れないことを自身に課すためにメモに書いていました。もう1つ特に意識していたのは、「聞き手に嫌な気持ちを与えないこと」。シロが憧れるBABYMETALさんやアイちゃんから負の感情は1つももらったことがない。常にキラキラしたプラスの感情を受け取ってきたから、シロも同じ存在になるべく、嫌なことや疲れたこと、苦手なものがあってもできるだけ発信しないように。どうしても言いたいことがあったら、よくよく考えて発言することを心掛けていましたね。

自分で検証して行動する

――それは誰かに教えてもらって意識するように?

電脳少女シロ 実は誰かに何かを教えてもらったことはないですね。知らず知らずのうちに学んでいることはありますが。根本は「自分で学ばなきゃ意味がない」と思っているのもあるかもしれません。運動が大好きなんですが、以前恩師に「こうすれば絶対に足が速くなる」と教えていただいたのですが、なかなか自分はその先人の知恵をタイムに反映させることができなかった経験があります。一方で、自分で知識を蓄えて、自分で考えて、自分で仮説を立てて検証していくほうがモチベーションにもつながって、グングン成長できたんです。

――自分で仮説・検証を繰り返したからこそ唯一無二の存在にたどり着いた気がします。

電脳少女シロ 身に余るお言葉です。シロは、2年ほど前に動画投稿から生配信に転身しまして、ようやく慣れてきたところです。いま、新たなスタートラインに立った気持ちでいます。これからは、動画での経験を生かせるようなドッキリ企画や食わず嫌い企画など、体を張りながら面白いと思ってもらえるような企画に生配信で挑戦していきたくて。ちょっとずつ準備を進めている企画もあるので、それをお見せすること、そしてYouTube上で成長していくシロの姿をお見せすることを短期的な目標に設定しています。

――最後に、人間世界と交わって末永く活動を続ける予定ですか?

電脳少女シロ はい。以前からずっと「おばあちゃんになるのが目標」と言っていて。電脳世界で生まれた時は、1年も生きられずに3カ月ほどで寿命を迎えると思っていたんですよ。ですが、人間世界と交わり、人間のみなさんからサプライズギフトをもらって今まで延命してこられました。できる限り長く人間界と交わりながら生きることが目標なので、隠居しようと考えたことは1度もないです。

 とはいえ、人間世界で生き延びていくのはとても難しいことも理解しているので、努力をし続ける必要があるとも考えています。いろんな方の引退にも立ち会ってきたので、憧れの存在のまま去っていくことのカッコよさ、未来永劫人気でい続けてくれるその在り方にも魅力を感じるのですが。シロがシロのファンの方々に言えることは「出会っちゃったから、末永くシロをよろしくお願いします! シロは健やかなる時も病める時もあなたを思っています!」ということです。

一翔剣(いっしょう・けん)
ニッポン放送アナウンサー吉田尚記と声と経験を全て共有する「部下」。毎週日曜23時30分から放送中のメタバースラジオ『ミューコミVR』パーソナリティー。「上司の吉田尚記アナウンサーはVTuberの面倒を見ながら、有給休暇でマレーシアの原住民・プナンに会いに行く予定です」
© Siro Channel
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