※日経エンタテインメント! 2022年10月号の記事を再構成

今月のゲストは、2020年9月に活動を開始した森カリオペさん。「ホロライブプロダクション」の英語圏VTuberグループである「ホロライブEnglish」のメンバーで、ライブ配信ではゲーム実況などを中心に行う一方、ラッパーとしての技術を高く評価されており、22年7月にはメジャーデビューも果たしました。YouTubeチャンネル登録者数は212万人。国内外問わず人気を獲得しています。

森カリオペ(もり・かりおぺ)
4月4日生まれ。20年にホロライブプロダクションの英語圏を中心に活動する「ホロライブEnglish」のメンバーとして活動開始。22年7月20日、ユニバーサルより1st EP『SHINIGAMI NOTE』でメジャーデビューを果たした。7月21日にはワンマンライブを豊洲PITで行った

――カリオペさんの音楽を聴いていると、日本の音楽をとても理解しているなと。そのルーツは?

森カリオペ 中学・高校時代はアニソンがすごく好きで『犬夜叉』『ONE PIECE』などの曲をよく聴いていました。大学生になるとYouTubeで偶然見つけたミュージックビデオをキッカケに、東方Project同人音楽やボカロP、ネットラッパーなど日本のネット音楽にすごくハマりました。例えば、FAKE TYPE.、らっぷびと、アリレム、RainyBlueBellが好きで、よく聴いていました。

――どこに魅力を感じましたか?

森カリオペ 日本のアニソンやネット音楽は、英語圏の音楽とメロディーが大きく異なると感じています。英語圏の人気の曲はリズムが単調ですが、日本のそういった楽曲はメロディーが激しく変わります。とてもエネルギッシュで、聴いているだけでファンタジーの世界に入り込んでいるような感覚になり、私の脳内ととてもマッチしていると感じていました(笑)。

――その頃から将来的に音楽活動を考えていましたか?

森カリオペ いえ、もともとはアニメーターや漫画家になりたいと思っていて、その勉強をする時のBGMを探していたなかで見つけました。音楽は大好きでしたが、自分が音楽を生み出す側になろうとも、なれるとも考えていなかったですね。ですが、友人たちから「試しにやってみたら?」と背中を押されて、音楽を生み出す側に挑戦してみることに。バーチャル化する前に、アンダーグラウンドで、ゼロから音楽を始めました。

――ホロライブ所属に至った経緯を教えてください。

森カリオペ 友人の1人がホロライブのオーディションに関するリンクを送ってきたことがきっかけです。音楽仲間にVTuberとして活動を始めている人がいたのですが、あまりよく知らず…。これまでにない存在だったために、最初は少し違和感を覚えていました。けれど、オーディションのページを見て、世界中の人たちと自分の夢を共有できるのはとても素晴らしいと感じたんです。それで情報収集したり、ライブを見たりするうちに、自分もやりたいと思うように。そこから自分なりに最善の準備をして、オーディションを受け、運よく所属が決まりました。

Vの活動は音楽のため

――デビューする時から音楽をやりたいと明言していたんですか?

森カリオペ この活動の目的の100%は、音楽であると考えていました。また、日本で活動をしない限りニコニコ動画の文化のような、自分らしさを保ったまま多くの人たちと価値観を共有することは難しかったと思います。VTuberは私のかなえたいスタイルに合っているだろうと思いましたし、結果、今とても楽しい気持ちで活動できています。また今年は、アーティストとしてメジャーデビューができたので、自分の音楽をより多くの人に広める方法を考えています。

――音楽は進化する文化だと思うのですが、カリオペさんの音楽はまさに最先端にあると感じます。

森カリオペ とてもうれしいです。私はオルタナティブラップというジャンルをもっと大きくしていきたい。誰かのまねをせず、新しい音楽を作っていきたいんです。自分のルーツにリスペクトはありますが、私が日本のネット音楽にインスピレーションを受けた時と同じような感覚を、私の音楽を聴いている人たちにも味わってほしいと考えています。音楽を常に進化させていきたいですね。

――そういう意味では一緒に音楽を作る人も重要ですよね。

森カリオペ 音楽を第一に考えている人と仕事がしたいですね。「この音楽を聴いたらどんな感情になるか」を考えてくれる人と、リスナーのことを理解し、どんなビジョンを持ち、アプローチしていくかを話し合いながら真のコラボレーションをしていきたい。楽しみながら楽曲を制作していれば、正の感情が音楽から伝わってくると思うから。

――今後仕事をしたい人は?

森カリオペ 難しいと思うけど、Adoさん。私は彼女の大ファンで、女性歌手としてとてもインスピレーションを受けています。幼少期、私のような低めの声で活躍している女性アーティストはいませんでした。そんななか、Adoさんの歌声を聴いて、すごくうれしかったんです。私のルーツでもあるFAKETYPE.も…指をクロスして願っているばかりです(笑)。

――音楽活動が忙しくなるなか、ライブ配信は今後も続けていく?

森カリオペ 音楽活動は楽しいものの、仕事として捉えているので、そればかりではありません。その点、ファンの方々とつながれる配信は、私にとってリラックスできる、純粋に楽しめる時間の1つなんです。本当は配信を週1に減らしたほうがいいのかもしれませんが(笑)、今後も続けていく予定です。

一翔剣(いっしょう・けん)
ニッポン放送アナウンサー吉田尚記と声と経験を全て共有する「部下」。毎週日曜23時30分から放送中のメタバースラジオ『ミューコミVR』パーソナリティー。「1カ月休みを経て配信復活! 吉田副部長が立て続けに出版するのでその話も。まずは9月に『アイドル歌会公式歌集I』を共著で出します!」
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