Z世代ヒット予測2022 第10回

常にポジティブで自分の意志を貫く「ギャルマインド」に憧れるZ世代が増えている。1990年代から2000年代の平成ギャルブーム時代は、「ギャルが経済をけん引している」とまで言われた。令和の今、再び勢いを取り戻している背景に迫る。

ギャルメディア「egg(エッグ)」の元編集長でMRA(東京・渋谷)社長の赤荻瞳氏(写真左)と、egg専属モデルのえりぴ(中村恵李花、17歳)
ギャルメディア「egg(エッグ)」の元編集長でMRA(東京・渋谷)社長の赤荻瞳氏(写真左)と、egg専属モデルのえりぴ(中村恵李花、17歳)

 1990年代から2000年代前半にかけて一世を風靡した「コギャル」ブーム。渋谷109がファッションやカルチャーの“聖地”となり、カリスマ販売員ブームが巻き起こったり、パラパラを踊るギャルサー(ギャルサークル)が全国にできたりと、社会現象化した。

 当時、安室奈美恵や浜崎あゆみといった歌姫がアイコンとなり、益若つばさや小森純らのギャルモデルも活躍。ファッションで言えば、ルーズソックスや厚底シューズなどが定番のアイテムだった。

 あれから約20年、令和の時代に入った今、Z世代の間でギャルブームが再燃している。その火付け役の一つとなったのが、ギャルメディア「egg(エッグ)」が18年に復活したことだ。18年から22年3月まで編集長を務めたMRA(東京・渋谷)社長の赤荻瞳氏は1996年生まれのZ世代で、「生まれたときからギャルだった」と公言する。

 もともとeggは、大洋図書子会社のミリオン出版(後に大洋図書が吸収合併)が95年に創刊したギャル雑誌で、最盛期の99年には50万部を発行するほどの人気を誇った。しかし、ギャルブームが落ち着きを見せ、ブログやSNSなどの台頭により部数が漸減、2014年5月発売号を最後に休刊していた。

 その後、08年に女子高生ミスコンなど、イベント・広告・メディアなどを手がける企業グループのエイチジェイ(東京・渋谷)が、eggのIP(知的権利)を活用して「egg.comプロジェクト」を始動。その話をギャルサー仲間から聞いた赤荻氏は即座に立候補し、編集長に就任した。

 まずはWeb版eggとしてデジタル上で復活させ、YouTubeやSNSを中心に新たなギャルカルチャーを発信。令和の時代に入った19年5月1日には雑誌eggの復刊号を発売した。YouTubeは毎日更新しており、雑誌は半年に1度のペースで発行し、現在7冊目が発売されたところだ。

 特に毎日午後5時に動画をアップしているYouTubeは反応がよく、公開24時間後で平均9万再生を獲得、登録者数も44万に上る。雑誌eggの公称発行部数は平均7万部。雑誌不況といわれる中でも、存在感を示している。

なぜギャルが再び注目されているのか

 今、Instagramで「#ギャル」を付けた投稿は103万8000件、「#ギャルしか勝たん」は3万7000件もある。なぜ今、ギャルが再び脚光を浴びているのだろうか。

 赤荻氏は「ぶっちゃけギャルは絶滅していなかった」という。昔は渋谷のセンター街に集まり、集団としての存在感を発揮していたが、今はSNS全盛の時代。必ずしも渋谷に行かなくてもSNSで発信できる。だから、絶対数は減っていたものの、世間に見えづらくなっていた面もあるということだ。

 例えば、egg専属モデルのえりぴ(中村恵李花、17歳)は、04年群馬生まれの高校3年生。小学校の高学年からギャルメークを始め、動画配信アプリの「ミクチャ(ミックスチャンネル)」に投稿していたというデジタルネーティブだ。

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