
新型コロナウイルス禍で増えた巣ごもり時間。「手作り」に慣れたZ世代から注目されているのが、自分だけのラグを作る「タフティング」教室だ。また、Z世代に人気の高いボリューム感のあるスイーツ×ビーガンという新しい流れが登場している。2022年3月、ラフォーレ原宿に新オープンしたパーティー系ビーガンスイーツ(パリビ)を振る舞う店が大人気だ。
2021年10月、東京・根津にオープンしたタフティングスタジオKEKE。オリジナルのラグを作ることができる体験教室の予約が、毎月の募集開始と同時に埋まってしまうという。
スタジオを開いたのは、毛毛(けけ、東京・台東)代表の中武薫平氏。自らもZ世代の26歳だ。24歳の妹、千友梨氏が教室を手伝う。
本格開業前の7月、まずはワークショップを開こうとInstagramで告知すると、「あっという間に2万人のフォロワーがついた」と薫平氏。フォロワーの多くはZ世代だ。
タフティングとは、カーペットやラグを作る際の織物技法で、数本の毛糸を束ねた房(tuft)を、タフティングガンと呼ばれる専用の針で布に縫い込む。ガンを手に持ち、枠に張った布に打ち込むのは一見難しそうに見えるが、「少し練習すれば誰でもできる」(薫平氏)という。
参加者の9割は女性で半数は単独参加だが、「友人と2人で同じ日に予約が取れないので、やむを得ず別々に参加したというケースも増えている」(薫平氏)。
Z総研の道満綾香氏は「Z世代は何かを手作りすることに対して前向き。オリジナルアイテムを作る目的だけではなく、制作の過程を気の置けない友人と楽しむ時間も重視している」と語る。タフティングは「制作の様子が写真映えすること、トレンドに敏感なインフルエンサーがプライベートで参加するなど、22年は人気により拍車がかかりそうだ」(同氏)。
現在、3.2万に膨らんだKEKEの公式Instagramのフォロワーは依然Z世代が多い。だが実際の参加者は、少し上の20代半ば~30代半ばがメインだという。その理由を「2万8000円(税込み)と、どうしても値段が高くなってしまうので若い方たちはまだ来ることができていない」と薫平氏。いつかは行きたいと考えているZ世代が、今後参加者として増えそうだ。
糸選びから完成まで約4~5時間。KEKEでは「作業中は参加者にあえて話しかけないようにしている」(薫平氏)。簡単な指導の後は、問題が起きていたり声を掛けられない限り、手伝うこともしない。それは「自分自身も何かをやるときには、放っておいてほしいから」と説明する。あらゆるモノや環境が整う中で生活してきたZ世代にとって、自らの手で自由に手作りする時間は貴重だ。
参加者が作業に集中してしまうので「無理やりコーヒーブレークをつくっている」と千友梨氏はほほ笑む。ほとんどの参加者が「スマホを見ない4~5時間が新鮮」と感想を漏らすそうだ。また、「何も考えずに集中できて、ストレス発散になる」という声が多いという。
【タフティングの工程】
■ 予約日の1週間前までに希望のデザインをメールで送付
↓(デザインが細かい、あるいは複雑な場合は難しいので調整)
■ 色見本で毛糸選び、タフティングガンの練習

■ プロジェクターでデザインを布に投映して下書き
↓
■ 本番
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