
「古着の物々交換」イベントが若者を中心に注目を集めている。不要になった服3着を持参すると、会場にある古着3着を持ち帰ることができるこの企画。自身もZ世代である代表に話を聞くと、新世代ならではのブランド観や経営方針が見えてきた。
古着の物々交換イベント「CLOSETtoCLOSET」が今、20代を中心に注目を集めている。来場者は事前に3000円の入場チケットをオンラインで購入し、当日不要になった服3着を持参すると、会場に並ぶ古着3着を持って帰ることができる。イベントは月に1度、都内でポップアップ(期間限定)の形式で開催されており、来場者は1日100人を超えることもあるという。
2019年の開始からこれまでにおよそ28回開催され、累計1000人以上の来場者が訪れている。2022年1月にそごう・西武の西武渋谷店で開催したポップアップイベントもチケットが完売するなど、今広がりを見せているイベントだ。
CLOSETtoCLOSETのイベントを運営するアパレルブランド、energy closet(エナジークローゼット、千葉県市原市)の代表を務めるのは、自身もZ世代の三和沙友里氏。「Z世代だから特別どう、ということは特にない」と語る彼女だが、その取り組みの新規性やブランド観には、若者世代の心をつかむヒントが隠れている。
リピート率4割の秘訣
CLOSETtoCLOSETのテーマは「服の循環」だ。10人の客が入ると30着のラインアップが変わるように、店頭に並ぶ服は客が出入りするごとに変化し、来場した客の手から次の来場者の手へと服が巡っていく。入場料がある代わりに服一着一着に値段は付いておらず、自分が持ち込んだ服と他の来場者によって持ち込まれた服を、まさに物々交換する。
1着ごとに値段が付いていないことは、来場者を引き付ける1つの要素になっているだろう。値札がないことで、その時のお財布状況や、値段と商品が見合っているかを考えずに、純粋に自分の好みに従って服選びを楽しむことができる。価格を度外視できることで、「せっかくなら他の店にはないような物を持ち帰ろう」「着たことのない系統だけど試してみよう」と、ファッションをさらに楽しむきっかけの場になっている。
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