
Z世代の「次のヒット」を大胆予測する本特集第2回では、第1回で示したヒット予測ベスト8の背景にあるZ世代の4大インサイトをひもとく。「イミ消費」「#タグをまとう消費」「タイパ疲れ」「正解より『納得解』」など、新たなキーワードが浮かび上がってきた。
Z世代を知るうえで、「2022年、企業が最も意識すべき潮流は『透明性』と『意味(イミ)』の時代であること」と電通若者研究部(電通ワカモン)の用丸雅也氏は断言する。
まず、(1)「透明性・プロセス」重視の背景には、爆発的に普及したSNSを通じて企業と個人の間で情報の非対称性がなくなったこと、またブロックチェーンなどの技術進歩で、あらゆるもの・コトのトレーサビリティー(生産履歴の追跡)が可能になったことがある。商品の原価率や環境負荷、従業員の労働環境など、これまで企業が意図的に隠せば見えなかった裏側の部分にまで生活者の目が行き届くようになった。
そのため、自社に不利な情報を含めていかに情報を先出しし、透明性を担保するかが求められる。情報感度の高いZ世代に対しては、なおさら重要な視点だ。
透明性をキーワードにしたヒットでは、例えばソニー・ミュージックエンタテインメントと韓国の芸能事務所であるJYPエンターテインメントの合同オーディションプロジェクト「Nizi Project」から誕生したグループNiziUや、日本最大級のオーディション番組「PRODUCE 101 JAPAN」から生まれたボーイズグループJO1が記憶に新しい。これまでのアイドルのように“完成形”として売り出すのではなく、オーディションの選考過程をつまびらかにし、プロセス全体でZ世代の共感を最大化させた。
いわゆるプロセスエコノミーの好例だ。これが22年は他のジャンルにも一気に波及していきそうだ。先行しているのが、ファッション領域。「時代はファストファッションから『ファクトファッション』へ移行している」(用丸氏)という。
例えば、米シューズブランドのNISOLO(ニソロ)は、原料の調達方法や労働環境など、地球と人に対する客観的な数値評価を事細かに記載した「サステナビリティー・ファクト・ラベル(Sustainability Facts Label)」を21年12月から付けている。まるで食品の栄養表示のような分かりやすさで、その数値評価に用いる独自の算定方法も広く公開、他社の参加を促していることも特長だ。
「NISOLOは先鋭的な事例だが、こうしたウソのない姿勢にZ世代はより引かれる。企業は財務諸表をよく見せることだけではなく、地球環境や従業員の労働環境といった『非財務諸表』の改善にいかに向き合うかが今問われている」(用丸氏)
Z世代は買い物を通じて「#(ハッシュタグ)をまとう」?
こうした(1)透明性・プロセス重視のトレンドのベースになるのが、(2)サステナブルな「イミ消費」だ。
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