
国内でも参入相次ぐ「売らない店」。そのパイオニアである米b8ta(ベータ)に異変が起きている。2022年に入り、新型コロナウイルス感染症拡大の影響による来店者の激減などを理由に全店を閉鎖。これを機に日本法人のベータ・ジャパン(東京・千代田)はライセンスを取得し、米b8ta(ベータ)から独立した。米b8taはなぜ失敗したのか。また、国内に勝算はあるのか。ベータ・ジャパン代表取締役の北川卓司氏に直撃した。
ベータ・ジャパン 代表取締役
Q 日本国内向け事業における商標権及びソフトウエアのライセンスを取得して、独立した。どのような経緯でこのような判断になったのか。
A 日本事業については裁量権を持って展開できるように合意を得ていた。20年8月の日本上陸後、米国側からライセンス制の契約形態に変更できないかという相談があった。そこで20年9月には資本関係を解消し、売り上げに対して数パーセントのライセンス料を支払う契約形態に変えた。ライセンス料は取られるものの、より自由度の高い事業展開が可能になった。例えば、渋谷店のオープンは本国に相談せずに日本独自の判断によるものだ。そのほか、家電以外のカテゴリーの開拓も日本で判断してきた。
さらに自由に事業を展開するためにも、商標権とソフトウエアのライセンスの買い取りをこの1年をかけて交渉してきた。米国側ではライセンス料を支払い続けてほしいと考えていたようだが、ようやく契約がまとまった。株式会社としての登記は22年2月28日に完了した。今後、事業への投資を進めるうえで、第三者割り当てによる増資を目指したい。アジアへの進出も考え始めている。
Q なぜ、商標権とソフトウエアを買い取るという選択をしたのか。
A 今後、アジアに進出するうえで、ある程度認知のある「b8ta」というブランドが大切になると考えた。また、事業を下支えするソフトウエアは単体で見れば、ずば抜けて優れているというわけではないが使い慣れているし、タブレット端末との連係もそのまま利用できる。また、一から開発すると時間がかかる。国内市場に合った機能にアップデートするためにも、ソースコードごともらったほうが開発しやすい。それらの理由から商標権とソフトウエアの両方を買い取ることを決めた。
Q 最盛期には約20店舗を展開していた米b8taだが、22年2月18日に全店を閉鎖した。その理由は。
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