「売らない店舗」は売れるのか? 第3回

b8ta(ベータ)と並ぶ米国発のショールーム型店として知られるのが「世界で最も面白いお店」と銘打つ「SHOWFIELDS(ショーフィールズ)」。双日の出資を受け、22年9~10月に東京・原宿、表参道エリアで日本上陸を予定する。どんな店なのか。日本では成功するのか。米小売りの現状も踏まえ、ニューヨーク店舗の生の姿をリポートする。

米国ニューヨークのダウンタウンにある「SHOWFIELDS」店舗
米国ニューヨークのダウンタウンにある「SHOWFIELDS」店舗

 米国では、2015年に「b8ta」の開業を皮切りに、「SHOWFIELDS」「Neighborhood Goods(ネイバーフッドグッズ)」「Naked Retail(ネイキッドリテール)」などRaaS(リテール・アズ・ア・サービス)と呼ばれるショールーム型店舗が次々と誕生してきた。

 20年のb8ta日本参入から約2年。SHOWFIELDSが日本に上陸する。日本での事業を進める双日によると、22年9~10月に東京・原宿、表参道エリアに出店を予定しているという。ロケーションに基づくコンセプトデザインを策定しており、出店を希望する米国ブランドと協議も進めているほか、日本のブランドとも協議中だ。

 日本ではOMO(オンラインとオフラインの融合)を実現する小売りの新形態として大きな注目を集めているショールーム型店舗だが、米国では、その潮目が変わりつつある。b8taは米国の店舗を全て閉鎖してしまった。日本の事業を日本法人へ丸ごと売却してしまったのもご存じの通りである。Naked Retailもニューヨーク店を閉じている。

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 生き残ったそのほかのショールーム型店舗もこれまで予定してきた新店の計画が進んでおらず、ビジネスモデルの転換は避けられない。現在は一般の小売店と同様に、商品を購入し持ち帰ることが可能になってきた。例えば、SHOWFIELDSの場合はテナントの中で商品を購入できないのは1~2ブランドのみ。ほとんどの顧客は店員が持ち運ぶ決済端末で購入を済ませて、商品を持ち帰るという。

 さらにNeighborhood Goodsは、オンラインで購入した商品を店舗で受け取るBOPIS(Buy Online Pick-Up In Store=店舗受け取り)にも対応した。そんな中、22年3月下旬にリニューアルオープンしたというタイミングで、ニューヨークのノーホー地区にあるSHOWFIELDSを訪れた。

出展料は月額で数千ドルから

 米ショーフィールズは、イスラエル出身の起業家であるタル・ズヴィ・ナサネルCEO(最高経営責任者)が、不動産デベロッパーやベンチャーキャピタル出身の仲間と立ち上げた企業。他の店舗では見たことのないクールなブランドを「発見」する場所として18年、米ニューヨークに4階建て店舗を立ち上げた。20年にはマイアミ店を開き、現在はロサンゼルスを加えた3店舗を展開している。

 店内では、各ブランドがポップアップショップのような空間を約6カ月などに区切って利用する。区画や展示の形態によって細かく料金設定しており、出展料金は月額で数千ドル~数十万ドルとなる。

 ショーフィールズは、出店ブランドの世界観を区画内で表現する内装や、什器(じゅうき)などのビジュアルマーチャンダイジングのサポートをする。さらに店内に備え付けられたAI(人工知能)カメラが、通行量のほか「5秒以上ブースに立ち止まったか」といった様々なデータを集め、ブランドに提供する。

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